シニアのための情報新聞「フロンティアエイジ」
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佐藤監督「大和」を語る  
 
あの時代語り継ぐ責務 様々な「別れ」に思い託す
 
   「男たちの大和 YAMATO」(東映)が大ヒットを続けている。巨費を投じた空前のスケールで、歴史の波間に消えた巨大戦艦「大和」を通して戦争を語り継ぐことの大切さを訴える意欲作。メガホンを握った佐藤純彌監督(73)に、この映画にかけた思いを聞いた。

 鹿児島・枕崎漁港に「大和」の沈没地点まで船を出して欲しいという女性(鈴木京香)が訪れるところから物語は始まる。数少ない生き残りだった亡父・内田(中村獅童)の遺言でそこに行きたいという。重い腰を上げて船を出す漁師の神尾(仲代達矢)も実は敗戦前年の春、新兵として乗艦し、内田や森脇(反町隆史)たちを上官と仰ぐ特別年少兵だった。バイク購入資金ほしさに船員となった少年も同乗して現地へ向かう船中、神尾の回想とともに60年前と現在が交錯しながら展開していく。

 佐藤監督は「2年早く生まれていれば、自分も年少兵に誘われたかもしれない」という年齢。それだけに、このストーリが他人事とは思えなかったという。

 「敦煌」をはじめ、これまでに40余本を撮ってきたベテランだが「これまでは撮り方にこだわった作品が多かった。しかし、今回は何を描くかに重点を置いた。大和にまつわるひとつの物語としてではなく、あの時代に生きた人々の思いを、何とか伝えたい」と苦心したそうだ。

 「戦争の描き方にはいろいろな手法がある。単なる反戦映画にはしたくなかった。沖縄奪還のための大和による水上特
「大和」乗艦の年少兵たちが桟橋を離れるシーン
攻を、無駄な死とすることも、また英雄視することも避けたかった。それで様々な別れのシーンをいっぱい盛り込んだのです」
生涯を誓った恋人や妻、あるいは母たちの「生きて帰って」「死なないで」と叫ぶ別れの言葉は、世代を超えて胸を打つ。奇しくも生還できた神尾が探し当てた恋人は、広島で被爆して死の直前。わずか1カットのシーンながら、原爆のむごさが伝わる。

 文章には書かれていない筆者の真意を汲む「行間を読む」という言葉がある。映像は「映し出されたものがすべて」と言われるが、「結局、祖国を守れなかった」「負けて目覚めることが最上の道だ」。登場人物たちの断片的なセリフが、映画にも読むべき行間があることを教えてくれる。

 「不沈戦艦といわれた大和のあった時代。それを映像で描き得たと思う。戦争を知る世代として、やっと心の整理ができた」。佐藤監督はしみじみと語った。  (
 
 
観ようか  
 
 
ナポレオンとヴェルサイユ展 3月19日まで、神戸市立博物館。02〜03年の「王たちの時代」展に続き、今回はナポレオンの戴冠200周年を記念し、その波乱の生涯をヴェルサイユ宮殿美術館の全面協力を得て浮き彫りにする。ダヴィッドの「サン=べルナール山からアルプスを越えるボナパルト」=写真=や、ジェラール、グロらの勇壮な油彩画とともに、皇妃ジョセフィーヌゆかりのジュエリー、後の皇妃マリー=ルイーズ愛用の調度品など日本初公開品も展示。宮殿室内も再現される。月曜休館。1300円。
 
 
プーシキン美術館展 シチューキン・モロゾフ・コレクション 4月2日まで、大阪・中之島の国立国際美術館。2人のロシア人実業家によって19世紀末から第1次大戦までの短期間に、精力的に集められたフランスの近代絵画。認められ始めた印象派のほか、まだ評価の定まっていない時期のマティスやピカソを含む優れたコレクションが、まとまって日本で公開されるのは初めて。オーギュスト・ルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの庭で」(1876年)=写真=やモネ、セザンヌらの名作50点と版画25点も展示。月曜休館。1400円。
 
 
映画「オリバー・ツイスト」 幼いころに読んで涙した人も多いであろうディケンズの名作を「戦場のピアニスト」のロマン・ポランスキー監督が映画化。19世紀のロンドンを舞台に、天涯孤独の少年オリバーが様々な悪に出会いながら、純粋な心を失うことなく幸せをつかむまでを描く感動の物語。オリバー役のバーニー・クラーク=写真、スリ団ボス役のベン・キングズレーの名演と、リアルに再現された街並みが作品に風格を与える。28日からナビオTOHOプレックス、TOHOシネマズ二条、OS三劇ほか。特別鑑賞券1300円(当日1800円)。
 
  映画「天空の草原のナンサ」 モンゴルの草原で放牧をする両親のもとで育つ3人の子。6歳の女の子ナンサはある日、寄り道した洞穴で子犬と出会う。父親が許してくれないので隠れて飼うことにしたのだが、放牧に出た草原ではぐれてしまう。雨が降り出す中、子犬を探すために馬を走らせるナンサ−。「らくだの涙」のビャンバスレン・ダバー監督が故郷への愛をこめて描く。カンヌ映画祭で「パルム・ドッグ賞」を受賞した犬の活躍も見もの。14日からOS名画座、京都シネマ、シネリーブル神戸。特別鑑賞券1300円(当日1800円)。  
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