シニアのための情報新聞「フロンティアエイジ」
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近場おもしろ旅 素敵な春求めて
 
よし笛ロード 花満つ福貴畑
 
 
ちんちん電車 そばと湯の里 向日の竹の径
 
 
よし笛ロード  
 
 
のどかな水郷を巡り 安土で信長をしのぶ
 
レンガ色の道が日本の原風景に出あわせてくれる
 琵琶湖東岸に水郷地帯の近江八幡や安土を結ぶ全長26・2キロの自転車専用道路「びわ湖よし笛ロード」がある。残念ながら乗り捨て型のレンタサイクルはないので、JR安土駅を発着点とする周回サイクリングを試みた。

 駅前で観光マップなどを貰い、大きな織田信長の像を後に、花水木のある通りを北に進むと、やがて赤いレンガ色に舗装された道路に出る。これが「よし笛ロード」。標識にしたがって進むとすぐ、琵琶湖最大の内湖・西の湖に出あう。近江八幡市との境界でもあり、その一部が今年1月、国の“重要文化的景観”の第1号に選定された。

 日本最大のヨシ原が広がる水郷の景色は、まさに日本の原風景。自転車で走ると、なんとものどかで、春風が心地よい。釣りを楽しむ人、野鳥の写真を辛抱強く撮り続ける人も多い。

 水郷めぐりの観光和船の乗り場がある白王口の交差点で右に折れ、一般道を走る。大中の交差点を少し過ぎて右折し、城址のある安土山の麓を目ざす。天主台跡へは復元工事が続く大手道を歩いて登る。山上からの琵琶湖や西の湖の展望が素晴らしい。往復1時間程度。山麓は桜の名所で、今月8、9日には桜まつりが開かれる。

 県道沿いに山側に向かい「よし笛ロード」に戻って右に行くと、安土城考古博物館や天主最上部を復元した「信長の館」などがある公園へ。レストランのメニューは信長うどんや信長ハンバーグ定食。安土は、信長の町なのである。

 再びレンガ色の道を走って安土駅へ。自転車でゆっくり回って2時間、城址や博物館見物を含めれば3〜4時間。レンタサイクルは2時間500円から。  (
 
花満つ福貴畑  
 
 
百花乱れ咲く桃源郷 周回の道に古墳点在
 
 
赤、白、黄色−春を凝縮したような福貴畑の里(撮影・塚原紘)
 桃、桜、レンギョウ、ユキヤナギに白やピンクのモクレンが競って咲く爛漫の里がある。大阪・奈良府県境の生駒山系の南麓。奈良県平群(へぐり)町にあるその花木産地は、名も美しく福貴畑(ふきはた)という。温室でつぼみをふくらませ、生け花用に出荷するための小枝を摘んだ後といえ、花木たちはたわわに花をつけて名残の春を歌う。

 桃源郷に最初に目をつけたのは写真マニアたち。3月から5月にかけて140万本の花木の切り枝を出荷するほか、春から秋にかけ露地栽培の小菊3000万本(64ヘクタール)、温室切りバラ330万本を供給する花どころだ。奈良朝の貴族・長屋王が眠る墓地や古墳の数々、信貴山の寺々も近くにあって、ウオーカーの隠れコースとしても知られだした。

 近鉄平群駅北から西へ、町役場前を経て竜田川を渡ると、すぐ正面に観光文化交流会館(TEL0745・46・1120)がある。ここを起点として右まわり7キロの周回。つぼり山古墳、文化財の藤田家、普門院などの道標に沿って巡る。

 人家が途切れるにつれて花の木々が増え、上り坂のあたりから左手に花の世界が広がる。起伏に富み、日当たりの加減で早咲き、遅咲きの花が混じるから楽しい。右手はのどかな福貴畑の集落だ。

 西和広域農道に出て左折し、三差路をまた左に折れると下り坂。両側は小菊の栽培団地となり、小学校前を過ぎると右に温室バラ園。直売所(TEL0745・45・3351)もある。ほどなく観光文化交流会館前に戻る。

 平群駅へはJR大和路線王寺駅で乗り換え、近鉄なら生駒駅で生駒線に。駅のすぐ東に長屋王御陵公園がある。  (
 
 
ちんちん電車  
 
 
歴史を縫って堺まで 600円なら乗り放題
 
 
旅はこの天王寺駅前から始まる
 カラフルな小ぶりの電車が、ビル街から住宅地や行楽地、遺跡、名勝をつないでいく。大阪と堺を結ぶ阪堺電軌は大阪唯一の路面電車。「ちんちん電車」の愛称で親しまれる。

 天王寺駅前―住吉公園間11駅の上町線4・6キロと、恵美須町―浜寺駅前間30駅の阪堺線14・1キロの2路線で、約6割が路面を走る。上町線は大阪馬車鉄道として1900(明治33)年、阪堺線はその11年後に開通した。

 全線1日中乗り降り自由の「てくてく切符」(600円)を買い、天王寺駅前から出発。乗客は20人たらずだが、買い物袋を持つ女性や沿線案内を見る年配夫婦らがいて、空気が温かい。

 2駅で道路から離れ、専用軌道に入ると「ゴトゴト」響いていた車輪の音が軽くなり、スピードも上がる。2駅でまた路面へ、3駅で専用軌道へと変わり、終点の住吉公園まで16分間の旅。専用軌道ではまるで壁の間をすり抜けるように民家の背が迫る。ワンマン走行なので運転士は駅ごとに立ち上がって客に笑顔を向ける。

 住吉公園と住吉大社でひと休みし、住吉鳥居前から阪堺線へ。数分で市境の大和川を越え、やがて堺の中心街に近い8車線道路に出る。貿易で栄えた「中世環濠都市」の遺跡が地下に残る一帯の真ん中を貫いて走り7駅。そして専用軌道に入り浜寺駅前着。住吉から27分。道路を隔てた浜寺公園に、松原越しの海風が吹いていた。

 大阪では天王寺公園、帝塚山の万代池や古墳など、堺では与謝野晶子の生家跡、千利休の屋敷跡、ザビエル公園など、見どころは限りがない。帝塚山のケーキ店や住吉の住之江味噌、堺のくるみ餅、浜寺の松露だんごなど、味の探訪も楽しい。

 1回乗車は大阪、堺市内が各200円、両市連続乗車は290円。昼間も上町線は6分、阪堺線は12分間隔だ。  (
 
 
そばと湯の里  
 
 
自ら打って自ら食す 炭酸泉の温もり満喫 
 
 
日曜・休日の朝市には新鮮な野菜があふれる 
 兵庫・猪名川町に、蕎麦打ちを楽しめ、食べられる「道の駅」があると聞き、妻と車で出かけた。「道の駅いながわ」は国道176号線の池田から県道12号線へ入って約30分。朝10時からの蕎麦打ち道場に間に合ったと思ったら、日曜は午後3時からの1回だけだった。

 しかし早起きは三文の得。農産物販売センターで朝市が開かれていた。新鮮さが評判で京阪神から多くの人が訪れるという。妻もどっさり買い込んだ。時間があるので近辺を散策。秀吉の埋蔵金伝説がある多田銀山を管理した代官所の門や本殿が重要文化財の戸隠神社、木喰上人が刻んだ仏像がある東光寺、国登録有形文化財の茅葺き民家(静思館)、屏風岩など見る所は多い。

  蕎麦打ちは、駅構内の「そばの館」で丁寧に指導してくれた。500グラムの生粉に150cc熱湯を注いで粘りをつけ、100cc水を加えて練り込む。鏡餅状の団子に仕上げ、円筒形の棒で平らに伸ばし、長方形に折りたたんで幅2ミリほどに切る。プロは20分で仕上げるが、1時間も掛かった。ゆでてもらってざる蕎麦に。この美味しさを、多くの人に体験してもらいたいと思った。

 12号線を南下し、県道68号線、国道173号線伝いに北上して大阪・能勢町の「汐の湯温泉」へ。料理旅館だが温泉だけでも楽しめ、有馬温泉系の炭酸泉のまったりした肌触りがいい。昔は郭だった数寄屋造りの中庭には灯篭やつくばい。日本情緒に浸った。

 電車でなら、道の駅いながわ(TEL072・767・8600)は能勢電鉄日生中央から阪急バスで平野口。汐の湯温泉(TEL072・734・0021)は同電鉄山下からバスで同温泉前。  (
 
 
向日の竹の径  
 
 
開発逃れた貴重な緑 竹垣の多様さに感嘆
 
 
様々な形に編まれた竹垣が次々と現れる。
 「こんな素晴らしい道が残っていたのか。開発で失われたと思っていた」。連れの友人が何度も口にした。道の両側に多様な竹製の垣根が続く。

 「これが竹穂垣」「あれは物集女(もずめ)垣」「向こうに見えるのが古墳垣かな」「その横のが寺戸大塚古墳だよ」―向日市観光協会発行ののリーフレット「竹の径(みち)を歩く」の写真と見比べながら会話が弾んだ。

 竹の径は景観保全をかねて同市が手を入れた散策路。かつては全山が竹に覆われていた丘陵内の農道の一部で、うち2キロほどが整備されている。

 同市が中心部となる長岡京跡に興味を持ち、初めて訪れたのは40年も前のことになる。京都、大阪のベッドタウンだけに、その後は開発が進んで小山の上までも変形していった。もう昔の自然はあるまい、と思い込んでいたが、たまたま京都駅でリーフレットを見つけ、出かける気になった。

 阪急の洛西口駅で下車。駅の横を走る道を、西に向かって約10分ほど歩くと、中央分離帯に「竹の径」の標示。左側の小道に入ると目指す竹林の中の小道になった。

 急な上り坂のかかり口の案内板には「寺戸垣」「来迎寺垣」など6種類の垣根の写真が焼き付けられている。「古墳垣」や「かぐや姫垣」は、新たにデザインが考えられ、命名されたようだ。

 竹の径の主要部分は京都市との境界にあり、寺戸大塚古墳の近くには京都市の洛西竹林公園がある。260ヘクタールもの竹林を破壊した洛西ニュータウンの「罪滅ぼし」に造られて25年ほど前に開園。110種類の竹が植えられ、資料館もある。

 「距離が短いのが残念だなぁ」―もっと早く保全に目が向けられていたら、と思った。  (徹)
 
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