ニューシニアの必読紙「フロンティアエイジ」
朝日新聞朝刊とともにお届けします。 フロンティアエイジ
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いま語ろう 市川禮子さんの高齢者福祉 (上)
 
「収容」でなく「入居」へ その埋め難い距離との闘い
 
   老人ホームは、その人らしい暮らしが出来る住まいでありたい。障害があっても、認知症であっても人権が守られねばならない。元気な時と同じように普通の生活が送れるようにしたい。そのためには、地域に支えられて入居者も職員も一体となった民主的なホームの運営がなされるべきだ。こんな願いを実現するために夢中でやってきました。

 特別養護老人ホーム4施設を核に高齢者のケアと取り組む75の事業を運営、2350人の高齢者の暮らしに関わっていますが、やらねばならないことは、まだまだあります。

 35歳までは子育てに懸命な主婦でしたが、尼崎市で起こったある出来事が福祉の仕事に踏み出すきっかけとなりました。長女が通う小学校の学級で、1年に2度も担任の先生が辞めていったのです。先生が出産しても、産休明けからすぐに預かってくれる保育制度がなかったのです。「働く女性を守り、子どもたちの発達が保障される環境をつくりたい」とPTAで話し合い、会員宅の2部屋を借りて共同保育所を1カ月で立ち上げました。無認可ですが、産休明けの専門職や公務員たちが預けに来ました。

 主婦たちによる小さな保育所ですが、家庭、地域に支えられる保育所にしなければならない。2000人を集めて夏祭りや不要品セールもやりました。園長として9年、正式な園としての認可運動を広げ、カンパも募って自己資金6000万円をつくり83年4月、オープンにこぎつけました。

 私は同時に引退しました。開設されたばかりの尼崎喜楽苑に要請されて運営に参加することになったのです。戦後の失業対策事業などに携わった全日自労の人たちが高齢化し、老後を案じて運動の結果、当時、人口50万の尼崎市で初めて生まれた特別養護老人ホームです。最初の仕事は生活指導員。人生の先輩たちに向かって「指導」という名称に反発し、私は「生活相談員」を名乗りました。

 当時は、家で介護を受けられない高齢者を「救済」する目的で行政が「措置」をする時代でした。ホームは「収容」の場とされ、入居できない人は病院に社会的入院していました。それらの場では手や足をベッド柵に縛られ、カーテンも引かずにおむつ交換がされていました。繋ぎ服の集団が笛にあわせて行進する姿も見ました。こんな接し方はがまんできない。新たな怒りにかられて私の第2の仕事が始まったのです。 (むかひら すすむ)
 
  市川 禮子(いちかわ・れいこ)
 神戸市生まれ。主婦から私立保育所運営の実績を買われて83年に尼崎市の特別養護老人ホーム「喜楽苑」へ。2代目苑長として高齢者福祉のあり方を問う施設づくりを進め、「いくの」(92年)、「あしや」(97年)、「けま」(01年)を開設。尼崎老人福祉会理事長、68歳。
 
 
落語ウオークや「笑検」 ワッハ上方設立11年目
 
 
新しい試み続々と  
 
   大阪府立上方演芸資料館(通称ワッハ上方)が、11月で設立11年目に入った。9月に落語の定席、天満天神繁昌亭が幕開けして上方のお笑いが盛り上がる中、ワッハ上方はどうなっていくのか。有川寛館長に聞いた。

 ワッハ上方はこの4月から指定管理者が府の支援を受けて運営する形に変わったが、ホールの運営、資料の収集、殿堂入り表彰事業など、これまでと同じ展開で続けている。「伝統芸能や能、舞などの育成、保存にも、これまで通り取り組みたい」と有川館長は言う。
有川館長

 新しい事業として、落語や漫才が主体だった無料ライブに浪曲を加え、邦楽ライブも始める。館内資料の説明に桂小米朝さんによる音声ガイダンス(有料)を導入、「お笑い+健康」事業(有料)も始めた。希望する府内の施設に芸人を送り、笑いと健康との関連を探る試みもさきごろ、摂津市内に漫才の海原はるか・かなたコンビを派遣して実現した。

 今月26日には「上方落語ウオーク」(有料)を催す。桂米朝さん、故6代目松鶴さんによるリレー落語「高津の富」をビデオで見た後、高津神社などを見て歩き、最終地の四天王寺では、桂坊枝さんによる「天王寺詣り」を楽しむ趣向。来年2月には「上方演芸検定試験=笑検(わらけん)」を実施し、お笑いの知識に挑戦してもらう予定だ。

 同館の収集資料は現在5万点弱。館内の演芸ライブラリー(無料)には、先輩、現役の名人芸をおさめたテープやビデオが2千点はあり、その場で見聞き出来る。テレビ、ラジオ局の協力で、その数は毎年百本ずつ増えている。「先人の芸を研究するにはもってこいの場所です」。有川館長はお笑いのプロを目指す人たちにも、強く利用を薦めている。

 問い合わせはワッハ上方(TEL06・6631・0884=水曜休館)へ。
 
 
縁故米運動と食を考える集い  
 
   食の安全を求めて活動しているNPO法人「使い捨て時代を考える会」(槌田劭・代表理事)が、4日13時半から、京都市南区の京都JA会館で「縁故米運動宣言集会」を開く。

 食料の60%以上を外国に頼るわが国。食の安心を確保するには、生産者と消費者の緊密な協力しかないと「縁故米運動」に取り組むこと決め、農民として「安全な農」への発言を続ける北の星寛治、南の山下惣一両氏を招いて討論する。1300円(当日200円増)。280人。TEL075・361・0222。
 
 
葉つき銀杏と秘仏 桜井・観音寺で公開  
 
   桜井市・音羽山観音寺で17日10〜15時、県天然記念物お葉つき銀杏まつりがある。

  秘仏の不動明王が初公開され、午前は法要に続き郷土史家芝房治氏の記念講演「音羽山観音寺3つの謎」、午後はオーボエカルテットのコンサート。イチョウもちょうど見ごろ。同寺へはJR桜井から奈良交通バスの多武峰談山神社行きに乗り、下居(おりい)で下車して1・8キロ。TEL0744・46・0944。
 
 
地域知る旅のモニター募集  
 
   「地域のよさ」を資源にする実験プロジェクト「ステイタス」を進める次の5市町が、その旅人モニターを募る説明会を19日10時半、大阪梅田・JTBカルチャーサロン梅田教室で開く。定員50人。完全予約制(TEL03・5949・1347)。

 北海道・中標津町(釣名人と行くサーモンフィシング、本格ゴーダチーズ作り)▽同・江差町(最高位師匠と唄う江差追分、北海の幸堪能)▽山形・西川町(湯殿山信仰の六十里越街道巡り、キノコ採り・保存食づくり)▽山梨・北杜市(達人が伝える里山園芸とクッキング、信玄公隠れ湯で過ごす「森療時間」)▽三重・志摩市(英虞湾シーカヤック、漁師発祥「てこね寿司」伝授)。いずれも専従窓口を設けて案内し、6泊7日でホテル3万5千円、牧場コテージ2万4千円など格安。
 
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