ニューシニアの必読紙「フロンティアエイジ」
朝日新聞朝刊とともにお届けします。 フロンティアエイジ
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企業ミュージアムはワンダーランド 食品編
 
 京菓子資料館 サントリー山崎ウイスキー館 UCCコーヒー博物館
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  熊野古道を歩く
   コスモトラベル
  グラーツ大今里
   慶生会
   
   
   
   
   
   
  
 
インスタントラーメン発明記念館 湯浅醤油・角長の職人蔵
 
京菓子資料館  
 
都の雅びを担った誇り もてなしも細やか
   京都御所の北西、「雲龍」の大きな看板がかかる京菓子司・俵屋吉富烏丸店に隣接し、少し奥まって建つ京菓子資料館への前栽には「京」のたたずまいがあった。

 まず、2階の資料展示場へ。エレベーターの扉が開くと同時に目に飛び込んでくるのは、花器に活けられた糖芸菓子。大きさ、細やかさ、美しさに圧倒される。枝や花はまるで本物。3人の菓匠が約半年かけて制作したという工芸菓子に釘付けされた。
店の右手奥にある資料館。右上は「亥」の祝い菓子

 奥に進むと菓子図案帳や菓子型などの展示品が並ぶ。桜材で作られた型は200年を経た今でも使えるという。螺鈿細工に屋号を記した菓子重箱はお届けの際に使われた。遣唐使がもたらした唐菓子は、仏の供え物や宮中での宴卓に乗る貴重な物だった。やがて茶と共に武家や富裕層にも広がった歴史に思いをはせる。1階の茶席「祥雲軒」では和服の女性のもてなしで、作りたての京菓子とお茶が気軽にいただける。敷地内に工場を持つ俵屋吉富ならではの贅沢だろう。

 千年の都の雅びが形となった京菓子。「歩んできた歴史とほんものの技を多くの人に知ってもらい、京都らしい空間を楽しんでほしい」と、8代目の石原義正現会長が1978年(昭和53年)に建設し、2001年に改築した資料館。父であり「雲龍」創作者でもある7代目、石原留治郎前会長の「先祖の供養をしつつ、人々が集い和やかにお茶を飲みながら菓子談議が出来る寺が欲しい」との願いを基に作った」のだという。3階の多目的ホール菓仙堂には弥勒菩薩が安置され、文机と座布団が並ぶ。修学旅行生や団体客への説明会・研修会などに使う。

 文化風俗の発信地、京の都で1755年の創業以来250年余、その一端を担って伝統を守る京菓子職人としての自負。遷都による明治の苦しい時期を乗り越えた心意気。設立30年のこの資料館で60万人近い人たちが四季に因む京菓子を目で楽しみ味わった。 (養)

 交通=京都地下鉄今出川駅北出口から北へ100メートル▽入館料=無料だが茶席は500円 ▽TEL075・432・3101。
 
 サントリー山崎ウイスキー館  
 
工程知れば味わい格別 見学はいつでもOK
   洋酒党なら一度は訪れてみたいのが「サントリー山崎ウイスキー館」。同社が2000年に山崎蒸溜所内にオープンした。

 白壁の2階建ての同館には、日本のウイスキーの歩みがわかる展示パネルや映像コーナー、壁面に7000本もの多彩な原酒やウイスキーがずらりと並ぶ「ウイスキーライブラリー」、それらがブレンダー気分で飲み比べ(有料)できるテイスティングカウンターのほか、2階の一角には同蒸溜所限定販売のオリジナルウイスキーや、ウイスキーを使ったケーキ、樽材からつくったグッズなどのお土産を売るファクトリーショップもある。
つい足が止まるカウンター。
緑濃い山崎蒸留所

 懐かしいトリスウイスキーのパネル、開高健や山口瞳が編集した冊子「洋酒天国」などの展示物を見ながら、樽に使われたオーク材を利用したという床の上を歩いていると、ウイスキーの香りが漂ってくるようだ。

 入場無料でいつでも見学できるが、ここを訪れたらやはり蒸溜所のガイドツアーを楽しみたい。受付で申し込めば、スタッフの女性が、仕込みから発酵、蒸溜、貯蔵庫の工程を60分ほどかけて案内してくれる。圧巻は貯蔵庫だ。樽詰めの年が刻印された3000個の樽が眠っている。いま最も古いのは1956年ものという。最後は試飲コーナー。この日は山崎の原酒だけでつくられた「山崎12年」や最高級「響17年」などを味わった。

 無料でいつでも参加できるが、年間12万〜13万人が訪れる人気というから、予約しておいた方が確実だ。ウイスキー館の開館は10時から、ガイドツアーも10時から1時間おきに6回、年末年始を除きほぼ毎日。 (木)

 JR京都線山崎駅、阪急京都線大山崎駅から徒歩10分。問い合わせ・申し込みはTEL075・962・1423。 
 
UCCコーヒー博物館  
 
一巡すれば博士の気分 創業者の夢詰まる館 
   10月1日はコーヒーの日だという。神戸の人工島・ポートアイランドの「UCCコーヒー博物館」によると、コーヒー年度は10月が始まりであるうえ、日本での消費が秋冬に増えることから、全日本コーヒー協会が1983年に制定した。
モスクを思わせる外観
館内は貴重な資料がいっぱい

 博物館は87年の「コーヒーの日」に開館した。JR三ノ宮駅からポートライナーで13分の「南公園」駅前にある。イスラム教寺院をイメージした八角形の鉄骨3階建て。住宅やホテル、企業ビルなどの高層建築が多い島では小ぶりな館が「コーヒーのある豊かな生活」を提案し続けている。

 コーヒーは1000年以上前からイスラム教の修行僧に飲まれ「不出の秘薬」とされていた。17世紀初頭にローマ法王が飲み物と認めてキリスト教徒に広まり、日本へは江戸時代に長崎から伝わった。赤道をはさむ「コーヒーゾーン」の約70カ国で生産され、日本は世界第4位の消費国。伊万里焼がマイセン磁器の手本だった―などなど。

 「起源」「生産」「文化」などテーマ別の6つの展示室がらせん状に配置され、最上階からのなだらかな傾斜路をひと巡りすると「コーヒー博士になった気分」にさせてくれる。例えば「文化」の部屋には150を超す内外の珍しいカップが並ぶなど、貴重な資料とともにパネルや模型、人形、映像などが多用されていて飽きない。コーヒーの講習会や音楽会もあって、年間約5万人が入館する。

 運営しているUCC上島珈琲は69年に世界初の缶コーヒー開発で飛躍した。コーヒー専門の博物館づくりは創業者・故上島忠雄氏の夢だったという。 (清)

 入館料は大人210円。団体(20人以上)160円。TEL078・302・8880。
 
インスタントラーメン発明記念館  
 
夢中になる手作り体験 「世界食」の故郷
 
   今や「世界食」となったインスタントラーメン。その発祥の地、池田市にある「インスタントラーメン発明記念館」は入館者自らがチキンラーメンを作り、食文化を学べる体験型博物館だ。「料理に興味のない男性にも面白い」と聞き、半信半疑ながら予約を入れて出かけた。
「マイラーメン」は感動ものだ
再現された研究所

 阪急池田駅から歩いて5分。住宅地の中の赤みがかった花崗岩をはり付けた西洋の城のような建物。入ってすぐ右手、第1展示場の一角に6畳ほどの建物があった。日清食品の創業者会長、安藤百福さん(96)が自宅裏庭に建て、1958年夏にチキンラーメンを生み出した「研究所」だ。

 現在世界で生産されるインスタントラーメンは約850億食。その元になる発明が、この小さな小屋の中で成し遂げられたことに驚く。内部には安藤さんが使ったごくありふれた台所用品の「研究機器」が並び、チキンラーメン発明の鍵となった「瞬間油熱乾燥」用の大釜もあった。

 展示場の天井や壁に並ぶインスタントラーメンの実物パッケージは約800。歴代の主な製品が展示されている。

 手作り体験は2階の「世界で唯一の体験工房」で行われる。小麦粉をこね、熟成させ、延ばし、めん状にして蒸し、味付けをした後、油熱乾燥するまで約1時間半。待つ間に、インスタントラーメンの歴史や生産現場を映したビデオが流される。袋の絵も自作の「マイラーメン」が完成するまでに、知識が身につく仕組みだ。

 たまに粉からうどんを作りはするが、ラーメンは初めて。「大人でも面白い」という仲間の言葉が実感できた。第2展示場にはカップヌードル・ドラマシアターや予約不要のカップヌードル作り体験工房もある。 (徹)

 記念館は池田市満寿美町8−25(TEL072・752・3484)。入館は無料だが、チキンラーメン手作り体験は有料(大人500円)で1日3〜4回、1回48人まで。希望者が多くTEL072・751・0825で要予約。
 
 
湯浅醤油・角長の職人蔵  
 
 
発祥の地の歴史を知る 白壁の町に新旧2館 
 
   醤油発祥の地である和歌山県湯浅町の老舗メーカー角長(かどちょう)を訪ねた。JR湯浅駅から角長まで約1キロの道は年末に国指定の伝統的建造物群保存地区になったばかり。黒壁、白壁の家が立ち並び、熊野道と書かれた大きな石の道標も立ち、大正・昭和初めのレトロな街並みを楽しみながら歩いて20分。黒と白の醤油蔵が並ぶ角長に着いて、さらに江戸、明治時代にタイムスリップすることになる。
ミュージアムは地域の生活道路に
面してある

 角長にはミュージアムが二つある。最初に案内されたのは、1866年建設の醤油蔵をそのまま展示室にした民具館「職人蔵」。幅2メートル近い引き戸をあけると、入り口横の説明板に醤油の発明者とされる法燈国師が登場。中国・南宋で径山寺(きんざんじ)ミソの造り方を習ってきた国師は、ミソの上にたまった汁をなめて「これはいける」。時に1264年、隣町の由良興国寺でのこと。おいしい水が出る湯浅で醤油は本格的に造られるようになったという。

 薄暗い中に昔、醤油造りに使われた道具が並ぶ。底が破れた釜。小麦を煎るのに使った「平釜」と説明板。人の身の丈ほどの木製滑車が二つかみあっている。小麦割砕(かっさい)機とある。人が乗って足踏みして水車のように回し、臼の中の小麦を粉にひいた。うーん、職人の汗が見えるようだ。

 もう一つのミュージアムは1995年オープンの鉄筋建物だった。1841年(天保12年)、角長創業以来の大福帳が目をひいた。日清、日露の両戦争の年がひときわ高く積まれている。戦地にたくさん送ったということだ。醤油に関するビデオも見られる。

 近くには紀伊国屋文左衛門の碑が立つ勝楽寺、自然の中の二の丸温泉などがある。 (小)

 ミュージアムは土曜日開館。それ以外の日、また団体は必ず予約(TEL0737・62・2035)。大型バスも入る駐車場がある。
 
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