フロンティアエイジ・プレミアム
フロンティアエイジ
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2007年10月プレミアム第1面 プレミアム号index
 
陽光のイベリア半島一周 シニア20人憧れジャーニー
 
 
 
観光の道は巡礼の道 イスラムと共存探る
 
ヒマワリ
  若い時から憧れていたスペインへ、旅行社の観光ツアーで出かけた。6月中旬、ヒマワリが真っ黄色に野を染めて咲き、市場では真っ赤なサクランボが山盛り、紺碧の大西洋を見ながら食べるイワシのオリーブオイル焼きがうまい。ローマ時代の水道橋、カトリック3大聖地のひとつサンティアゴへの道、イスラムの繁栄を伝えるコルドバ……ポルトガルを含むイベリア半島一周3000キロ余のバスツアー仲間は、60歳以上の男女20人。穏やかに、したたかに旅慣れた一行だった。

 関西空港を朝に飛び立ち、マドリードのホテルに着いたのは夜11時近かった。缶ビール1本を飲んで寝てしまった。

 翌朝マドリード観光からバスツアーが始まった。添乗の女性が、ツアーメンバーは夫婦9組と単独の男女各1人で、20人全員が60歳以上、最高齢は73歳と紹介。小さなどよめきがあった。帰国のバルセロナ空港まで11日間、休養の1日を除いてバスを運転したスペイン人も66歳。「私は皆さんの半分よ」と添乗女性。
スペインの海

 3日目朝から巡礼道「サンティアゴへの道」に入った。レオン中心部のカテドラル(大聖堂)へ行く道にも、堂内にも巡礼者姿が目立った。スペイン人の女性ガイドを通訳に、バックパッカー姿の夫婦に尋ねると、オーストリアから来たという。夫婦が広げた長い手帳には、道中の教会やカテドラルで集めたスタンプがずらり。これをサンティアゴの巡礼の道オフィスに見せれば公式証明書を発行してもらえるのだという。四国お遍路や西国巡礼の集印帳と同じ発想ではないかと感心しているうち、旅仲間はお遍路夫婦を囲んで記念撮影していた。
 
 
オーストリア人夫妻
山盛りのサクランボ
コルドバのイスラム
 昼食後、バスは寄り道しながら、巡礼道に沿って走る。目ざす聖地サンティアゴ・デ・コンポステラが近づくにつれて雲がふえ、巡礼者たちが初めて聖地を見て感動するという歓喜の丘では嵐のような風雨になった。それでも数人がバスを降りて丘に立ち、ずぶ濡れの撮影会に。翌日の聖地観光でも雨が降り続いた。サンティアゴへの道は日本の熊野古道と姉妹道で、ともに世界遺産だが、雨が多いことまで似ていた。

 午後、ポルトガルに近づくにつれ晴れ上がった。ワイン産地で有名なポルトの町は古く狭い石畳の道、ドゥロ川の深い渓谷の両側に古びた町が広がる。大西洋の漁師町ナザレ、12世紀の城壁の町オビドス。ポルトガルはどこか時計が止まった感じがよい。

 再びスペインに入りセビリア、コルドバ、グラナダへ。アンダルシア地方は最後までイスラム勢力が残った所。コルドバのメスキータ(イスラム寺院)を案内してくれたスペイン人ガイドは日本語がうまい。日本に留学していたという。

 メスキータは元々キリスト教会だったが、イスラムの王が買い取って増築した。他宗教に寛大で、中を仕切ってイスラムとキリスト教の礼拝を同時にした時代もあるという。「その後、レコンキスタでイスラムを追い出したキリスト教の王は異教徒を住まわせなかった」と彼は説明した。そこへターバン姿の3人。「何しに来たのかな?」つぶやく私に「観光以外ないでしょう」とガイド。

 04年選挙で政権についたスペイン社会党は、公約通りイラクから軍隊を引き揚げた。マドリードを案内してくれた日本人ガイドは、その事実を紹介して「この国に暮らせることを、私は誇らしく思う」と言った。歴史と現在がつながっていると思った。 (小村 滋)
 
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