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全国京都会議(事務局・京都市観光協会)が出した「小京都と京都ゆかりのまち」の小冊子で「備中の小京都・高梁(たかはし)」に目をひかれた。瀬戸内海に注ぐ、高梁川中流盆地にある旧城下町。秋暑の中、ふらりと出かけてみた。(高橋 徹) |
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JR備中高梁駅で下車。まず、まちのシンボル備中松山城へ向かう。市街地の北、南北に4峰が連なる臥牛山の一つ、小松山(430メートル)の山頂付近に築かれている。
「車でふいご峠まで行けば20分ほどでお城」と聞いていたが、「ふいご峠まで1.2キロ」の城見橋公園でタクシーを下り、車道を歩くと峠の少し手前で市街地が望めた。 |
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●中世の山城 |
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高梁川の左岸に、瓦屋根の家並みが続く。軒を接しているのは、商家群らしい。人口3万6000の市にしては、ビルが意外に少ないのに驚いた。峠には10台ほど駐車していた。そこから山頂までは700メートル。武者窓の多い、白壁と黒い腰板の小ぶりの天守閣が迎えてくれた。
この城は、中世の山城の系譜を残す立地と、建物配置の珍しさで国の重要文化財。国有林の臥牛山の植生は約900種に及ぶと案内板にあった。紅葉のころは地元の人が引きも切らないらしい。
備中松山と呼ばれた時代には、この地は高梁川を利用した物資の発着地として栄えた。長さ10メートルを超える高瀬舟が、最盛期には300隻も往き来していたとか。昭和3年、伯備線の開通で舟の時代は終わる。復元された高瀬舟が観光駐車場に展示されていた。
かつて全国の「歴史の町並み」を学び、紹介しようと、専門家たちが立ち上げた研究会に参加させてもらったことがある。その折にこの高梁は「いい意味で保守的な町。町並みの残りもいい」と報告されたのが記憶に残っていた(注)。
残念ながら今では、大型郊外店の進出で、シャッター街になったところもある。その一方で、武家屋敷町の石火矢町、紺屋川沿いの美観地区は整備されていた。
翌朝、再び城下町時代の武家町や町人町を歩く。市が管理する石火矢町の旧埴原家、旧折井家などが公開されており、200石前後の武士の暮らしがしのばれた。 |
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●残る鉄砲町 |
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埴原家では幕末に活躍した山田方谷に関する資料が展示されていた。赤字の藩財政をわずか数年で立て直した漢学者。明治新政府からたびたび会計局(後の大蔵省)への出仕を乞われたが、「朝敵側の人間」であったことを理由に辞退し続け、晩年はふるさとで子弟教育に力を注いだという。
石火矢町から百メートルほど南にある頼久寺の庭園は見事だった。江戸時代初期、備中国奉行としてやってきた小堀遠州(茶人、造園家)が、この寺を仮の館として暮らし、その折に作った庭が国の名勝に指定されている。
市街地内を気ままに歩くだけでも結構面白い。自然や社寺、石垣など先祖が残した文化遺産を大切にしてきたことがうかがえるからだ。戦前、町財政の大半を投じて城の解体修理をしたこともそうだが、鍛治町、鉄砲町など昔の町名も残り、狭い路地もそのままで、城下町とはこういうものと追体験させてくれた。 |
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●赤と白壁と |
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高梁市にはもう一つ、優れた「歴史の町並み」がある。標高500メートルの山中の成羽町吹屋地区に、銅山と赤色顔料ベンガラの特産地として栄えた集落の町並みだ。石州瓦の屋根、赤と白壁を基調にした壁の建物群が、300メートルほど続き、長野・妻籠宿、京都・産寧坂の町並みにも劣らない。
1泊2日のこの短い旅で、「いい意味で保守的」な人たちが、豊かな歴史と文化を守ってきたまちであることを実感できた。なるほど「小京都」だと思った。
〈注〉西川幸治編「歴史の町並み−中国・四国・九州篇」NHKブックスカラー版、1987年刊) |
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<メモ>
◆松山城の最短登城口「ふいご峠」へは11月30日まで、JR備中高梁駅前から毎日4回(10時5分、11時35分、13時5分、14時35分)観光乗合タクシーが出る。料金400円。◆吹屋へは高梁駅前からバス約1時間だが、回数が少なく確認が必要。ただし、11月25日までの土、日、祝日9時40分発で観光周遊バス(約6時間)がある。3000円(有料施設5館の入場料を含む)。いずれも予約が必要。備北タクシー(TEL0866・22・2086)、平和タクシー(TEL0866・22・3177)、備北バス(TEL0866・48・9111代)。問い合わせは高梁市商工観光課(TEL0866・21・0229)、観光案内所(TEL0866・22・8666)。 |
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◆1泊2日の学習観光「城下町高梁と備中松山城」募集中 11月16〜17日。
<1日目>13時半、備中高梁駅集合。頼久寺〜旧埴原家〜日本貿易・観光物産館。宿泊「神原荘」。夕食後備中神楽鑑賞<2日目>臼井洋輔・吉備国際大学教授による「備中松山城の歴史」の講座を受講後、御根小屋跡見学、徒歩で山頂の備中松山城へ。昼食後に城と大松山間を往復。ふいご峠からバスで下山。1万5000円(1泊2食)。定員25人。要予約。問い合わせは、高梁体験・学習観光会議(事務局:高梁市商工観光課内)。申し込み備北バス(TEL0866・22・2081) |
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