ニューシニアの必読紙「フロンティアエイジ」
フロンティアエイジ
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2008年3月号 第11面  
手作り市はいきいき市
   自分が創った“もの”で楽しみ、喜んでもらえる。“もの”を介して心が通じ合い、生活や人生を語り合える…京都の「百万遍さんの手づくり市」では、そこで生きがいや第二の人生の楽しみ方を見出した人など、さまざまな人生の開拓者に出会えた。2月号に続いて紹介したい。
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  有料老人ホーム
   フェスタ’08in大阪
  がんと向き合う
   統合医療と健康を考える会
  糖尿病の恐怖から
   舞子浜薬局
  耳の「雑音」
   爽風舎
  むきたまご肌
   さんさん家族
  
 
布と遊んで人と出会う  
 
榎本タカ子さん
 真ん中に穴をあけた布地を広げ、「これをどう着るかは、あなたの自由」と笑う榎本タカ子さん。手づくり市を主宰する潔さんの奥さんで、この市を生み出すきっかけとなった人だ。双子の子どもの洋服作りがスタートで、子どものものはすべて自分の手で作った。

 洋裁は近所のおばさんに少し教わっただけの独学だが、やがて着物地で洋服を作り、デパートなどでも売るようになった。アイデアが浮かべば作品にする、それを面白がって着てくれる人がいる。「これ、穴をあけただけと思うでしょうが、完成までに10枚以上、試行錯誤してるんですよ」。その過程もまた楽しいという。
 
唯一の時を刻む腕時計  
 
 
YOKKOの腕時計
  手づくり腕時計を創る山本美子さん(54)。京鹿の子絞り伝統工芸士である夫と家業に専念していたが、7年ほど前にテレビで知った手づくり時計の教室で学び、魅力にはまった。

 機械部分はセイコークオーツのムーブメントを使うが、文字盤、ケース、ベルト、バックルすべて手づくり。“手造り腕時計YOKKO”ブランドの世界で一つだけの腕時計ができる。いくつかの専門店でも扱うが、この市ではお客さんに気持ちが直接伝わり、吸収するものも多くて勉強になるという。
 
 
お寺の娘はケーキ屋に  
 
 
古賀みどりさん
  幼い頃からの夢を実現した人もいる。古賀みどりさんは、洛北にある臨済宗・圓光寺の住職の娘さん。10歳の頃に菓子作りに目覚め、ケーキ屋さんになることを夢みた。短大を卒業して4軒のケーキ屋で修業後、お寺の工房で配達専門のケーキ屋を開業、手づくり市にも出展。

 一昨年には北山にチーズケーキ店を開業し、この2月には烏丸蛸薬師に2軒目をオープンした。「チーズケーキ専門にしたのは、この市での反応が良かったからです。ここはマーケットリサーチの場でもありますね」。開業して9年目、笑顔の絶えない古賀さんは、子どもの頃からの夢が実現した喜びをケーキに乗せて、お客さんに味わってもらっているのかもしれない。
 
 
新聞紙からエコ植木鉢  
 
 
桐山勝喜さん
  リタイア後の男性たちも多い。

 古新聞を原料にした植木鉢をつくる桐山勝喜さん(59)=東近江市=は大手化学メーカーを54歳で早期退職。何をするか模索していた時、新聞紙を使って花器をつくる工芸作家からヒントを得て試作を重ね、新聞紙、顔料、セメントを調合してつくる“スーパー植木鉢”を考案した。資源再利用と、保水性、保湿性、通気性に優れていることで注目されたが、製作過程が大変なこともあって、今もつくり続けるのは桐山さんだけ。

 「まさにフロンティア。商売になるほどじゃないけど、手づくり市や全国のクラフトフェア、工芸展などに出かけて、いろんな人と出会い、語り合える楽しみがある」と語る。工房を“鉢工房よろこび”と名付けているのは、創る喜びに加え、出会いの喜びがあるからだという。
 
 
酒のつまみ いま大人気  
 
 
吉田正歳さん
  「ここはアフター60のステージだ」という吉田正歳さん(69)=京都市。原材料の椎茸や昆布から作り方までこだわった手づくり佃煮“どんこぶ”は手づくり市の人気商品の一つ。これと麻竹(しなちく)、ちりめん山椒の3品だけを販売し、いつも昼過ぎには売り切れる。大手百貨店でデザインや広告宣伝の仕事に携わっていた吉田さん。

 酒のつまみくらいは自分でとつくり始めたところ友人たちの評判もよく、手づくり市に出すとこれも好評。一昨年には佃煮店も開業したが「家内は反対で、この市でしか手伝ってくれません」と笑う。
 
 
趣味いかし流木アート  
 
 
野田充夫さん夫妻
  田舎暮らしをしながら流木アートに専念する野田充夫さん(57)。テントを担いでキャンプするのが趣味で、ギャラリーも“焚火屋”と名付けた。合繊メーカーを早期退職して流木クラフトに取り組み、2年前に大阪から長野県飯田市に移住。

 まり子夫人も野田さんが現役時代に扱っていたジーンズ地で帽子などをつくって出品している。飯田市では流木アート教室も開いている。「仕事が終われば酒という現役時代の生活に比べて健康そのもの」と、新たな生活スタイルを満喫している。
 
 
夢を替えて喜びと会う  
 
 
大久保雅生さん
  夢を描き替えた人もいる。徳島の芸術系高校を出て画家を志した大久保雅生さん(53)。京都の美術展で市長賞などもとった実力の持ち主だが、中央の公募展には入選できない。「この世界は画塾や組織に属していないと世に出られない」。

 多くの人の目に触れ、喜んでもらえる仕事はないかと考え、アクリル絵具で板木に絵や文字を描いてみると置物や表札、看板にぴったりと喜ばれた。「ペットの絵やご夫婦の似顔絵など注文に応じて描きます。喜んでもらっている顔を見るのが何より」という。

 “手づくり市”には、学ぶべき人生があった。
 
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