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ふるさと探しの旅にどうぞ―人口減に悩む自治体などが、団塊の世代に呼びかける体験ツアーが増えている。とはいえ、都市生活者にとって「移住」は大きな決断。そこで各自治体は「まず知ってもらおう」「次はロングステイ」と段階を踏む誘致作戦。高知県と全日空グループが主催する「南国土佐のふるさと探しの旅」に参加してみた。 (川西 邦広) |
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一行は関西と関東からの60代男女7人。2月下旬の1週間、四万十市、土佐清水市など高知県西部の四万十川流域を、廃校舎や民宿、ホテルなどに宿泊しながらバスで巡り、地域の見学と体験、交流を重ねた。
バスの中で県や市町の職員から説明された「高知県」像は、人口約80万人で高齢者比率26%は全国3位、面積の84%が森林で海岸線は700キロ、冬でも温暖で家計支出の飲酒代比率日本一。
案内役は3人の“博士”たち。四万十博士の山田高司さん(50)は西土佐環境・文化センターの専務理事。学生のころから世界を回り、サハラ砂漠の植林事業にも参加。10年前に地元に帰り、山仕事をしながら自然・地球環境問題の情報を発信し続ける。「最後の清流」と宣伝される四万十川には「マスコミへの甘えと驕りがある」と指摘しつつ、主体的な取り組みを期待する。50近くあるという沈下橋の一つを訪れるなど約5キロを歩き「暴れ川」としての一面も知った。
トンボ博士は「トンボと自然を考える会」の杉村光俊さん(53)。ナショナルトラストでの休耕田買い上げ、WWF(世界自然保護基金)による保護区用地計画、「四万十とんぼ自然館」の建設は、トンボ好き少年の戦いの軌跡でもある。2時間に及ぶ熱い解説が耳に残る。「異常を異常と感じない今の時代。トンボの自然観察は、普通を知ることでもあるのです」
市役所近くの沈下橋わきから船に乗り、約1時間半のガイド付きで四万十川を遊覧。川で獲れたアユ、手長エビ、青ノリ、ウナギの弁当を食しながら、清流が流域住民の思いやりとモラルで守られていることを学んだ。
高知県の西南端にある大月町の柏島は人口500人、周囲3・9キロ。山の上から海底が透けて見え、黒潮と瀬戸内海の水が合流して千種類もの魚を育む。黒潮博士のNPO法人黒潮実感センター長の神田優さん(41)はプロダイバー。アオリイカの産卵床として間伐材の枝や葉をダイバーの協力で海底に固定するなど、地域漁業とダイビング客の持続的な関係を築く。高知大学で体験を基に「柏島学」も教え始めた。 |
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| 熱い思いを傾ける人々 |
Uターンや30代そして定年後組 |
| 元気な実践者 |
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柏島は映画「釣りバカ日誌」の舞台にもなった。ロケの宿舎だった「大和屋」を経営する山本恒和さん(62)は横浜でコンピューター関係の仕事をしていたが、高齢の母を看るため6年前、島に帰ったUターン組。妻の幸子さん(61)と共に横浜で習った陶芸で皿をつくり、料理を盛り付ける。
吉岡仁志さん(38)は2年前、デザイン・印刷の仕事なら田舎でもできると、大阪市東淀川区から四万十市に移住。移住者の会「四万人(しまんちゅ)」をつくり、移住者の相談・支援活動も始めた。家賃2万円で空き家を借りていたが今春、移住支援住宅を購入した。地域の人たちが野菜や魚をもってきてくれる。僕たちにできることはと「四万人」仲間と地元のもち米をつかった「夢ちまき」を商品化、地元の鰻屋さんで販売を始めた。「もち米農家の所得増につながれば」と夢を膨らませる。
三上英明さん(39)は京都市からサーフィンができる土佐清水市の大岐海岸へ移住して4年目。小学生の2児と保育園で働く妻の4人で家賃2万円の家に住む。介護などの仕事をするかたわら「2、3メートル潜ると10センチものハマグリが取れていい収入になる。山菜も採り放題。学校は遠いが中学生まで医療費も無料。薬になる草も教えてもらえる」と魅力を語る。
小島喜美子さんは(57)去年9月、夫の芳治さんの定年を機に大阪市鶴見区の一戸建てを売り、夫の故郷の島根に帰るよりは未知の場での精神的自由を、とたまたまネットで知った黒潮町に移住した。築70年の家は家賃1万円。庭で野菜を育てる。田舎暮らしには車が欠かせないので去年、免許も取った。「田舎の暮らしはおしゃれ。自分が作った料理を道の駅に置いてもらおうと思って」最近、食品衛生責任者の資格も取った。夢を追い続ける大阪のおばちゃんらしさは健在だ。芳治さんにはシルバー人材センターから網の修理やブンタンもぎの仕事も入る。 |
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移住などについて高知県全体の数字は出ていないが、移住希望が多い四万十市の「在住を支援する協議会」の調査によると、この2年間で174家族(383人)が移住を申し込んだ。
府県別では大阪30件、兵庫21件、東京15件のほか、地元高知からも22件。年齢は30代51件、50・60代が37件で目的は仕事、心のやすらぎ、趣味・レジャーなど様々。他の市町も四万十市と同様、積極的な支援態勢を組んでいる。
移住、空き家情報、雇用情報などの相談は高知県地域づくり支援課(TEL088・823・9336)、または各市町の担当課へ。 |
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