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おわら風の盆、立山連峰、五箇山、黒部峡谷…富山県には有名な観光地が多いが、いずれも周辺地域。県都の富山市はとなると、観光的には吸引力が乏しいきらいがある。地味で堅実、実業中心で観光まで気がまわらない風土ということなのか?。富山のタウン誌が全国の情報紙、旅行誌に向け、わが街の魅力の掘り起こしを、と「水の都とやま 取材の旅」を企画。それに便乗して富山市を訪れた。
(川西 邦広) |
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大阪駅から特急サンダーバードで約3時間半。富山市は人口42万人、路面電車が走る静かな街だ。都心のまん中を松川が流れる。飛騨の山麓から富山平野を貫き日本海ヘ注ぐ大河、神通川の旧川筋なのだ。「パリがセーヌからできたように、富山は神通川で生まれ、育った街なのです」と今回の企画をしたタウン誌の中村孝一社長。
神通川は富山城の天然の外堀として大きく蛇行し、たびたび氾濫した。明治になって、富山湾まで直流する分水路をつくり、それが神通川の本流となった。旧川筋を埋め立てて街ができ、官庁、商店街、繁華街などもできた。水の都・大阪はウオーターフロントの活用が積極的だが、富山も街の真ん中を流れる松川に遊覧船が走る親水の街。470本の桜の古木と彫刻が並ぶ川沿いに県庁、市役所,繁華街、富山城、国際会議場など主だった施設が建つ。
路面電車での市内観光にも魅かれるが、川から街の匂いを感じる旅もいい。さっそく富山観光遊覧船(TEL076・425・8440)に乗った。桜の季節には1日20万人が乗る。緑の初夏もいい。松川は水深約1メートル、川幅約10メートル。コイが船の前で跳ね、マガモに誘導されるように、風に吹かれながら船旅を楽しむ。岸辺ではアオサギが身動きせずに小魚をねらっている。 |
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世間の騒々しさを忘れてしまう「松川7橋めぐり」も人気がある。64隻の舟を並べた神通川の渡しを偲ばせる「舟橋」、東を望めば立山72峰がみえたという「七十二峰橋」など、川とともに生きた富山の歴史をしのびながら橋をくぐり、緑に覆われた富山城、城址公園、川辺の彫刻群を左右に見ながら、ゆっくりと走る。
気持ちよさでうつらうつらしていると「春高楼の花の宴 めぐる盃かげさして」。口ずさんでいるのは北陸の旅をしている年配の夫婦連れ。「荒城の月」を作曲した明治の作曲家、滝廉太郎は父が富山県の書記官だった。廉太郎も小学校1年から3年まで富山で暮らし、城内にあった付属小に通った。明治という新しい時代で破壊されていく価値観や旧体制の遺構でもある城、変わり行く街並みを少年の目に焼き付けた。廉太郎の感性は富山の自然の中で磨かれたといわれる。遊覧船乗り場の松川茶屋には23歳で夭折した彼の記念館がある。5月18日には17回目の廉太郎を偲ぶ富山音楽祭があった。
「越中富山の薬売り」は昔の話ではない。西洋医学、病院中心の医療への反発もあって今、和漢薬が注目されているという。和漢薬の老舗・池田屋安兵衛商店(TEL076・425・1871)を訪ねた。江戸時代から続く店構えは風格十分。富山の薬が広まった背景に「江戸城腹痛事件」がある、という。元録3年、富山藩主が江戸城に参勤した時、腹痛を起こした大名を印籠から取り出した「反魂丹(はんごんたん)」で治したところ、居合わせた諸大名から薬の申しこみが相次いだというエピソード。他藩との交流が制限された時代にも、富山の売薬は全国63藩で販売を許可された。
医学や薬学が未開の時代に「体に魂を返す妙薬」として重宝された「反魂丹」。同商店の玄関には今も「越中反魂丹」の大看板がかかる。オウレン、センブリなどの自然の生薬を配合した「腹ぐすり」として現代も重宝される胃腸薬のロングセラーだ。店内では200を超える薬草から薬剤師が調合してくれる「座売り」が続く。映画「釣りバカ日誌」にも登場した観光スポットだ。2階は健康膳処「薬都」。黒米、高麗人参、薬草などの料理、野草茶などで主婦や若者に人気がある。
富山は鱒ずしの本場。県内に20数軒の鱒ずし屋がある。鱒のサクラ色、越中米の白、クマザサの緑、見た目の美しさが曲げワッパのおしゃれな容器で輝く。酢、塩加減、店主の腕で自慢の味を生む。舟橋付近で明治11年から続く「せきの屋」(TEL076・432・5104)の前川雅美店主は「毎年富山湾に稚鱒を放流します。大洋を3、4年回遊して川に戻ってくれるんです。うまいものは人々の舌で守られる」と、鱒ずしの由来を話してくれた。
北前船のコンブロードの集積地富山は、かまぼこの名産地でもある。富山のかまぼこは板付きではない。昆布巻きかまぼこ、細工かまぼこが中心だ。結婚、新築などの祝儀用細工かまぼこの生産では日本有数の規模と技術を誇る。老舗の「梅かま」は県内1のシェアをもつかまぼこ専門店。奥井健一社長は「かまぼこは世界のどこでも“SURIMI”で通る。家内企業が多く、生産量は1980年の100万トンから半減したが、狂牛病騒ぎなどで魚肉が見直されている。低脂肪でコレステロールが気になる中高年に最適」と今後への期待を語る。かまぼこのすべてを知りたい人は「梅かまミュージアム」(TEL076・479・1850)へ。
富山の旅を満喫する観光情報収集や銘菓「月世界」などおみやげ選びは、富山駅前の富山観光物産センター通称「いきいきKAN」(TEL076・444・7120)へ。 |
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