ニューシニアの必読紙「フロンティアエイジ」
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2008年7月号第1面  
「魔女」は愛を語った 家族こそ幸せの原点
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「西の魔女が死んだ」の サチ・パーカーさん
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「西の魔女が死んだ」
  サチさんと会った。サチ・パーカー、いま公開されている日本映画「西の魔女が死んだ」で、学校に行けなくなった中学生の孫娘を受け入れ、ひと夏をともに暮らす中で生きる意味、生きる喜び、より良く生きるための知恵を伝授した母方の祖母(マザーズマザー)のイギリス女性を演じた人だ。その人は映画の話題を超えて家族の大切さ、愛の尊さを真摯に語ってくれた。
 
伝えるべきこと きっと多いはず  
   気さくで魅力的な女性だった。1956年生まれの51歳。大女優シャーリー・マクレーンと映画製作者スティーブ・パーカー氏の間に生まれ、12歳まで日本で暮らした。美しい日本語を話す。
ガガブタ
繊細に咲き半日の命。葉が和鏡の蓋に似て名はガガブタ。絶滅の心配大=草津・水生植物公園
季々彩々 写真 青井 捷夫

 「この映画のオファーは最初、ママの所に来たの。スケジュールが合わず、残念だけどお断りしたって電話してきたんです。運転中だった私は急いで車を停め「私がそれをやる」って言ったの。ママは『だめだめ、あなたはまだ若すぎる』。でも、あきらめられない。オーディションを受けて結果発表があるまでの3日間、ほんとに死ぬんじゃないかと思うくらい待ちわびた。この映画に出ることは運命だったと思う」

 ママが止めたのもうなずける。「魔女」の年齢設定は実年齢より15〜20歳上。老け役だ。航空会社で客室乗務の後、85年に女優に転身した彼女の役柄を狭める恐れもある。

 「原作(梨木香歩著)のメッセージ、プロデューサー(柘植靖司)の映画化への思いに共感しただけでなく、私自身の成長のためにもぜひやりたいと思ったの。孫娘のすべてを受け入れ、ごく自然に導いて自信を持たせていく。親とは違った余裕ある接し方。私と祖母のことを思い出しながら、この映画のせりふに教えられながら役に没頭しました」
 
 
その場と機会乏し過ぎぬか  
 
   実は筆者も祖母に育てられた。5歳で父を失って1年後、母が勤めに出ることになった時、長子の家での隠居生活を捨てて支えてくれた。それを口にしたせいかサチさんは語り始めた。
サチ・パーカーさん

 「今、アメリカ映画で家族の再生をテーマにした作品が増えています。それは、現実がそうではない悲しい状況だからなのね。夫は6人兄弟で、6年前のある日、車椅子生活になった彼らの父親を老人ホームに入れる相談が始まったの。アメリカではごく普通のことだけど、日本で育った私にはとんでもないことに思えた。私だけが反対して一緒に住むことになった。とてもいい人で、素晴らしい思い出を私たちにくれた。5歳だった息子は一日中、彼のそばだった。そして3カ月でそれが終わった後、息子が言ったの。「大きくなったらママのような人と結婚して、パパやママと暮らして、年をとったら孫と遊んでやりたい」って」

 家族の中で伝えていくべき大切なものが、核家族化の中で機会を得ないまま遠ざけられる現実はわが国も同じ。それを問いかけるこの映画は、全世界公開の話が進む。

 同行している9歳のお嬢さんも女優志望。ママのママは偉大過ぎるのか少し「こわい」存在のようだ。そしてそのこわい人は多分、この映画を見てオファーを断ったことを悔やみ、女優として娘に嫉妬を覚えながら母として拍手を送るに違いない。別れ際“魔女”のささやきが聞こえた。「何だかとてもピュア(飾らず)にお話しできました。ありがとう」
    ◇
 祖母は10年後、部屋を掃除中に脳出血で倒れ70歳で逝った。母は55歳の定年後を私たちと暮らしてこの5月、96歳で逝った。同じ73歳で秋には金婚となる妻。わが家の女性3代への思いも重ねつつ記事をまとめた。 (拓)
 
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