ニューシニアの必読紙「フロンティアエイジ」
フロンティアエイジ
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2008年7月号第8-9面  
輝き競う星の里
 
大塔コスミックパーク 比良げんき村
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西はりま天文台公園 綾部市天文館パオ 星の動物園・みさと
 
大塔コスミックパーク  
温泉湧く星の国 宿にも望遠鏡
   68号を新宮市に向かって約30分。天辻隧道を抜けるとUFOのような楕円形の銀屋根に出あう。「大塔コスミックパーク・星のくに」施設のひとつ、道の駅・吉野路大塔だ。見上げる山に天文台のドーム(直径5メートル)と、ドーム(同2.5メートル)付きバンガローが見える。
大塔コスミックパーク

 山間の旧大塔村(05年9月の合併で現五條市大塔町)の「村おこし」策で86年、標高700メートルの山頂に建設した45センチ反射望遠鏡と12センチ双眼鏡を備えた天文台を中心に天文学習センターとして開設された。

 今は半球天井(直径12メートル)で102席のプラネタリウム館、40センチと25センチの望遠鏡がある第2天文台、56人が泊まれる「ロッジ星のくに」と温泉「星乃湯」、ログキャビン5棟、ドーム付きバンガロー3棟のほかバーベキューハウス、ソリ遊びが出来る広場などを整え、大塔ふる里センターが運営する。ログキャビンとバンガローに12.5〜25センチ望遠鏡があり、貸し出し用望遠鏡も10数台ある。
大塔コスミックパーク望遠鏡

 年間利用者約2万人。「神話や星座の起源など興味深い話で説明している」と天文指導員の辻本尚克さん(42)。杉やヒノキの香り高いロッジに泊まって夜の空を仰いだ。無数の星の中を小さな光の人工衛星がゆっくり通り過ぎる。温泉にも浸れて満足度は高い。 (清)

◆メモ 星の観測は宿泊者が対象。ロッジ大人1人1万円〜、ログキャビン1万5750円〜、ドームバンガロー2万5200円〜

▽「星乃湯」だけの利用は大人500円、子ども300円(平日不可)▽プラネタリウム館は大人500円、子ども300円。平日は団体のみで土曜2回、日・祝日3回投影。水曜休業。TEL0747・35・0321。
 
比良げんき村  
キャンプ気分で テントに一泊
 
   JR湖西線北小松駅から西約1キロ。天体観測施設は比良山系山麓の青少年野外活動施設・比良げんき村にある。標高約100メートル。眼下の湖面に沖ノ島、背後にはヤケ山(705メートル)がそびえる。
比良げんき村

 約7万平方メートルの「げんき村」管理棟を兼ねて89年に開館。1階は大型スクリーンがある研修室と半球天井(直径5メートル)のプラネタリウム館で、ビデオとプラネタリウムによる星空学習が約1時間楽しめる。担当の西村博之さん(62)が「霞のような星群は何?」と問いかけたり「おうし」「ふたご」「おとめ」など星座のイラストを重ねたりしながら説明。じゅうたんの床に寝転んで見られるのが特徴だ。

 2階は20センチ屈折望遠鏡を据えた観測室。コンピューターと連動して目標の星を自動的に追い、映像を研修室のスクリーンに映し出すので、40〜50人が同時に観察できる。観測会用の8センチ屈折望遠鏡を30台備えている。
比良げんき村望遠鏡

 81年びわ湖国体の山岳登はん競技管理棟が登山普及の「比良山岳センター」になった後、テント42張り分のキャンプ場、焼杉工作ができる工房、ローラー滑り台やトランポリンなどの遊具を整え、志賀商工会が運営している。施設から歩いて約20分にある落差76メートルの「楊梅の滝」はJRの車窓からも見える。 (弘)

◆メモ 施設利用料はキャンプ、天体観測、工房それぞれに大人520円、小・中・高校生310円、幼児100円(大津市内の人は大人310円、小・中・高校生210円)で、いずれも要予約。月曜(休日の場合は翌日)休館。TEL077・596・0710。
 
 
西はりま天文台公園  
日本一の望遠鏡 陰陽師の決戦地
 
   土星の輪が、かなり大きくくっきりと見えた。兵庫県立西はりま天文台公園の「なゆた望遠鏡」は日本一(公開望遠鏡では世界最大)の口径2メートル。解像度は人間の目の10万倍という。「なゆた」はサンスクリット語で「極めて大きな数」。
西はりま天文台公園

 「金色の雪ダルマ」の別称を持つしし座のアルギエバ、10数万個の星が集まるヘルクレス座のN13、まぶしくて目を開けていられないような0等星アークトゥールス。新しい星ごとに子供たちは歓声を上げる。望遠鏡調整の時間に屋外へ出て、満天の星の華やかさ、にぎやかさに息をのんだ。

 神戸から西へ約80キロの佐用町は、弥生期建立の天一神社があり播磨風土記(713年)にも記される古い地名。平安期に京の陰陽師安倍晴明が来て、お上に逆らう同業の芦屋道満を倒したとされる。大木谷を隔てて晴明塚と道満塚があるが、星を観て農民に天候の変化を教えたという道満の塚への参拝者が今も多い。
安倍晴明の塚

 南北朝期は赤松則村の領地で上月城跡、三日月藩陣屋跡など遺跡が多く、少年宮本武蔵が初決闘に勝った地でもある。道の駅が「宿場町ひらふく」と称してにぎわいの気配を残し、佐用川沿いには古い土蔵や川座敷が並ぶ。陰陽師道満、月の名所の三日月、佐用は古くから天空と深い縁があった。 (崎)

◆メモ 夜間観望会(平日は宿泊者限定)や望遠鏡操作実習あり

▽1泊ロッジ6700〜8400円(要予約)、デイキャンプ場150円▽JR京都始発の智頭急行特急スーパーはくとで佐用、車なら中国自動車道佐用ICから国道373号▽TEL0790・82・0598。
 
 
綾部市天文館・パオ  
あえて駅近くに 使い易さ優先
 
   綾部市天文館パオは市制45周年の1995年、当時最大級の95センチ反射望遠鏡を持つ天文館として開館。遊牧民住居をイメージしたパオの名は公募で決まった。JR綾部駅に近い標高80メートルにあり、南側の眼下は市街地。星の観察に最適の環境とは言い難いが、館担当長の大槻直樹さん(47)は「市民が気軽に利用しやすい場所」を優先したという。
綾部市天文館・パオ

 「ソフト面の充実による市民との交流」という当初からの方針を実践するのは、天文大好きな館員3人。大槻さんのほか、06年の第47次南極越冬隊に加わり宙空圏観測を受け持った山本道成さん(37)、機関紙「パオだより」も担当する白波瀬利恵さん。土星の輪が見えなくなる日は午前2時から開館した。

 1階フロアは本を読み、工作を楽しむ交流の場。展示物の隕石にもさわれるし、星占いや宇宙に関するゲームを楽しめ、50席のシアターでは天体番組を流す。
綾部市天文館・パオの望遠鏡

 外が暗くなって望遠鏡のある3階へ。今が観察の旬という土星にパソコンで照準を合わせると、ゴゴゴと重い音をたてて屋根が動き、連動して巨大な望遠鏡本体も回る。次々に望遠鏡をのぞき込み「見えた見えた」の歓声。思ったより小さくはあったが、輪もくっきり見えた。

 綾部は下着のグンゼの発祥の地。グンゼ博物苑には資料館の蔵が並ぶ。君尾山中腹の聖徳太子創建と伝わる光明寺には国宝二王門。麓のあやべ温泉で泊って街を味わうのもいい。 (養)

◆メモ  JR山陰線綾部駅からタクシー10分、舞鶴自動車道綾部ICから約1キロ

▽火〜木曜9時〜16時半、金〜日曜9時〜21時半(月曜休館)▽大人200円、小中学生100円▽TEL0773・42・8080。
 
 
星の動物園・みさと  
名の由来も納得 近くに湯の宿
 
   「星の動物園・みさと天文台」は和歌山県紀美野町にある。動物園が併設されているのかなと訪ねると、目当ての施設は美里温泉かじか荘に近い松ケ峯中腹の丘にあった。

 来てみて納得。北斗七星の「おおぐま座」、北極星の「こぐま座」、誕生日の星座の「おうし座」「おひつじ座」「さそり座」そして「おおいぬ座」「こいぬ座」。南半球でしか見えないが「つる座」「くじゃく座」・・・。空を覆う88の星座の半分近い42星座が生き物の名なのだ。
星の動物園・みさと

 1995年の開設時、人口数千の旧美里町は「世界一の天文台誕生」「宇宙人を探そう」と沸いた。その後西はりま天文台公園の200センチ、ぐんま天文台の150センチなどに抜かれたが、口径105センチの反射望遠鏡で空の動物たちと親しんでもらおうと願った命名。屋上へのらせん階段に漫画家ヨシトミ・ヤスオさんの星座マンガが架かる。

 ノーベル賞の小柴昌俊氏がつくる科学教育賞の第一回優秀賞に選ばれるなど、見学者が年間10万人を超えたこともあり、13年を経てすっかり定着した。宿泊用に設けていたバンガローは、温泉を楽しめるかじか荘の人気が高いため、今はご用ずみとなっている。
星座図

 芝生の丘に寝て満天の星を見あげ、星が大好きな3人の研究員の話をきくうち、七夕の織女星のロマン、流れ星の命運を思ったころの心に引き戻されていく。主任研究員の豊増伸治さん(40)のお薦めは夏の夜の流れ星。「特に8月12日のペルセウス座流星群はすごい。1時間に100個近くも見えるはず」 (邦)

◆メモ 夜の観望会は木〜日曜と祝日。阪和自動車道の海南東ICから旧野上電鉄沿いに国道370号を高野山方面へ。TEL073・498・0305

▽星空研究家が選ぶ05年ランキング5位の「かわべ天文公園」(和歌山県日高川町和佐TEL0738・53・1120)は大阪から南海特急で約90分。宿泊施設も備え、安珍・清姫の道成寺に近い。
 
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