ニューシニアの情報新聞「フロンティアエイジ」10月プレミアム号
フロンティアエイジ
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2008年10月プレミアム号第2面 プレミアム号index
 
北海道ちょっと暮らし
 
 
    北海道・厚真(あつま)町が募集した「北海道ちょっと暮らし体験」に参加した。9月13日14時に新千歳空港に集合し、15日14時に同空港で解散する2泊3日の田舎暮らし。初秋の「北の大地」は、稲穂や豆畑がヘクタール単位で青々と広がり、行く先々で提供されたトウモロコシ、カボチャ、スイカ、搾り立て牛乳は、本州とはひと味もふた味も違っていた(小村 滋)
厚真町  
食は豊かで敷地も広々 残る不安は医療と積雪
 
北海道地図
    新千歳空港からバスで約30分、宿舎の厚真町営こぶしの湯に着くと早速、町が売り出している住宅団地ルーラルビレッジに案内された。

 舗装された道の両側はカラマツ、シラカバ、ミズナラ、カエデ。原生林のようだが、本州と違ってジメッとした暗さはない。「広いねえ」「隣が見えない」感嘆の声。丘陵地の地形そのままに、森の中の住宅地は1区画1000平方メートル前後で約450万円。280区画の大半は既に売れ、96区画に約200人が住む。

 その中の一軒を訪問。東京で大学教授をしていたNさんは7年前に移住した。370坪の敷地の小高いところに平屋の住宅。奥さんが丹精こめた庭は花があふれ、その片隅の陶芸窯で焼いた作品を見せてもらった。東京にも家を残し、年数回は往復する。

 2日目の朝はジャガイモ掘り。昼食のジンギスカンで「北の恵み」を実感した。バーベキュー施設は公園など町内数カ所にあり、いずれも無料だ。町内産の炭火に、味付けされたラム肉を並べる。ジュージューと音を立てて脂が落ちる。ビールはなくとも肉は口から胃に流れ落ちる。朝取りトウモロコシが甘い。貝殻に載ったホタテ貝が溶けたバターの中で踊る。軍手を付けた手で貝殻を引き寄せ、厚さ3センチはある貝柱にかぶりつく。熱い、甘い、うまい。ホタテ貝は厚真の浜で穫れる。ホッケ、イカが香ばしい匂いを上げ、火の中でアルミ箔に包まれたジャガイモが焦げる。腹いっぱい食べて草むらに仰向けになる。白い雲、澄んだ空。「ここなら食糧危機は無縁かも」
厚真町

 満腹の後、アイヌ遺跡の発掘現場へ。バスは厚真川を遡って厚幌ダムの工事現場に着いた。道内では比較的温暖な気候の厚真町は米どころ。02年に農業用水などの多目的ダムの建設にかかったところ、遺跡群にぶつかった。発掘中のオチャラセナイ遺跡は、6000年前の縄文時代から本州では戦国時代にあたる500年前のアイヌ文化期までの暮らしの跡だ。縄文土器や擦文土器、石のペンダント、中国の古銭などが出土している。

 発掘責任者の乾哲也・町学芸員は「ここがサハリンや沿海州、カムチャツカ、本州へも繋がる交通の要衝で、交易地だったことがわかる。北海道の歴史を変えるかも」という。小さなシャベルを手に発掘も体験。何かを見つけるたび、乾さんは「5000年前の縄文土器」「矢じりに使った黒曜石」と説明、参加者たちは歓声をあげた。

 3日目は競走馬を預かるキクチファームや乳牛60頭を飼う山田ファームで馬や牛と触れ合った。

 ツアーに参加した15人はそろって北海道好き。東京、千葉、神奈川からの3組は定年後の厚真町への移住を考えていた。1組は既に土地を購入、もう1組も「ちょっと暮らし」を体験して決めたいと前向きだが不安は医療環境と冬の雪。「体が動かなくなったら東京に帰るかも」という。大阪、苫小牧からの各1組は30歳代で「自然の中での子育て」などが理由だった。

 ◆厚真町まちづくり推進課はTEL0145・27・2321。
 
 
安平町はディープの里  
ゴルフ場も7コース  
 
   実は2日早く北海道に入り、空港から厚真町への途中にある安平(あびら)町でも2泊の移住体験をした。06年3月、早来町と追分町が合併した町といえばうなずく人も多いだろう。
安平町

 早来町は優駿の故郷、競馬ファンの聖地。町には「お帰りなさいディープインパクト」の看板と“無敗の三冠馬”のポスターが貼られ、早来駅の物産館にはディープ・コーナーまである。9月の週日、種付け牧場の社台スタリオンステーションには本州から来た車やレンタカーが目立った。見学者席には100メートルほど離れた所で草をはむディープに見入るファンの姿が途切れない。他にもテンポイントが眠る吉田牧場やマルゼンスキーを生んだ橋本牧場がある。

 追分町は明治時代、室蘭本線と夕張線(現石勝線)の分岐点「追分駅」が地名になった鉄道の町。戦後に追分村として独立、最盛期は人口8000のうち8割が旧国鉄職員と家族だった。町の鉄道資料館にはD51が展示され、訪れた日は月に2回、SL保存協会が見学者に説明する日だった。国鉄機関士時代のブルーの制服を着た会長の阿部好次さん(82)が「SLは生き物、機関士の腕が問われたものです」とまるでサラブレッドをなでるように説明していた。

 安平町は、新千歳空港から車で15分、札幌にも1時間弱の交通の便。町内にはゴルフ場が七つあり、「ゴルフ仲間とバカンス移住」もお勧めだ。そば栽培農家直営の手打ちそば店、日本のチーズ発祥の地でチーズをつくる工場直営のレストランなどもある。3LDKの元町教育長公舎を「ちょっと田舎暮らし体験」用に貸している。

 ◆安平町まちづくり推進課はTEL0145・22・2514。
 
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