ニューシニアの情報新聞「フォロンティアエイジ」2月プレミアム号
フロンティアエイジ
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2008年10月プレミアム号第4−5号 プレミアム号index
 
かんぽの宿はとびきりの宿
近畿の「かんぽの宿」を訪ねた。郵政公社から日本郵政株式会社に引き継がれた宿は、身障者対応の部屋も備え、それぞれに味わいある極上の宿。「フロンティアエイジを見た」と告げ予約すれば1ドリンクサービス。
 
 
かんぽの宿紀伊田辺 かんぽの宿淡路島
かんぽの宿奈良 かんぽの宿富田林 かんぽの宿有馬
 
かんぽの宿紀伊田辺  
トラストの磯を歩き 太洋の夕日に感動
 
   和歌山県田辺市天神崎。日本での「ナショナル・トラスト」先駆けの地は、30年を経て変わらぬ風景を保ち、海と山の自然にあふれていた。
かんぽの宿紀伊田辺

 ことの起こりは1974(昭和49)年、民間業者が計画した高級別荘地開発。市民が「天神崎の自然を大切にする会」をつくり、全国から資金を募って業者から土地を買い戻す運動を展開。その広がりにおされて国もナショナル・トラスト法を制定し、運動は知床半島、釧路湿原、トトロの森・狭山丘陵など全国55団体に広がった。天神崎の「心の地主」は今も個人、団体合わせて6万を超え「海と磯を守るために必要な後背の山」の購入にも努めている。

 「かんぽの宿・紀伊田辺」は、その天神崎から海沿いを歩いて約20分の磯辺にある。天神崎に隣接する唯一の宿泊施設だ。5階の展望大浴場からは田辺湾や芳養湾が一望でき、全52室から見える太平洋の海、夕日の景観は格別。

 そして早朝に天神崎の磯を歩き、海辺を散策するにつれ、この自然を守りぬき、なお努力を続けるトラストの「心の地主」たちへの感謝の念にかられる。宿の松下敏支配人は「宿泊客は大部分が中高年で車と電車がほぼ半々。旬の料理を食べて温泉に入り、磯辺でのんびりくつろいでいただける」という。田辺は熊野古道の中辺路と大辺路の分岐点。闘鶏神社や南方熊楠顕彰館、紀州備長炭発見館などもある。 (邦)

 ◆メモ 泉質=ナトリウム―炭酸水素塩温泉▽効能=神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、冷え性など▽あし=JR新大阪〜紀伊田辺約2時間、タクシーで10分。車なら阪和自動車道・湯浅御坊道路みなべICから国道42号▽1泊2食(1室2人)1万1500円〜▽TEL0739・24・2900。
 
 
かんぽの宿淡路島  
大橋を渡れば花の島 鯛に牛に箸は進む
 
   「花へんろ」の淡路島へ車で出かけた。明石海峡大橋を渡って南へ5分、大阪湾埋め立て用土採取跡地の国営明石海峡公園へ。2000年淡路花博会場でもあり、コスモスやノジギクなどの花が咲き、ポプラが空に伸びて土地の再生を実感する。
  温室「奇跡の星の植物館」は3階から入って全体を眺めながら下りる構造。テーマ展示は11月3日まで日本の雅の世界、8日からは一転してクリスマスの光にあふれる。
かんぽの宿淡路島

 「かんぽの宿・淡路島」は播磨灘に面した富島の高台にあり、遠くから見ると大型客船が空の海を渡っているよう。全室が海側にあり、5階の温泉から見る夕日の美しさは格別。歩いて15分の距離に1995年の阪神淡路大震災の猛威を示す野島断層の北淡震災記念公園がある。前年にリニューアルオープンしたばかりのこの宿も被災。その後、100人の避難生活を支えた後に再開した。

 レストランでの夕食は秋の会席プラン3種類の中から「名月」を選んだ。鯛の姿造りやあら煮、松茸の茶碗蒸し、枇杷茶をだしに使った牛しゃぶなどに箸が止まらない。

 翌日はお香の薫寿堂で手作り体験、北淡中央部の山に建つ紅葉の名所・常隆寺を参拝後、花さじきへ。高台から海へ甲子園球場4個分という広さの斜面には、ピンクのコスモス80万本に黄色コスモス5万本が加わり、サルビアも縞模様を描く。入園料も駐車料も無料に驚かされた。帰路はかんぽの宿でもらった1割引券でたこフェリーを利用。海から見る大橋は美しかった。 (養)

 ◆メモ 岩屋港・北淡ICへ無料定期送迎車TEL0799・82・1073へ要予約▽1泊2食(1室2人)1万1000円〜。
 
 
かんぽの宿奈良  
眼前に平城宮跡 古都を巡り湯で癒す
 
   世界遺産の地に温泉湧8年前、名付けて「平城宮温泉」。以来「かんぽの宿・奈良」は古都の癒しの湯の宿として、観光客はもちろん地元の人たちにも親しまれている。
かんぽの宿奈良

 宿の東側には1キロ四方にわたって平城宮跡が広がる。1998年に「古都奈良の文化財」として世界遺産に登録された8資産の一つだ。今も発掘調査が続き、朱雀門や東院庭園が復元されて公開されている。

 宿の屋上展望室から宮跡が一望できるうえ、同じく世界遺産の唐招提寺や薬師寺も車で10分以内の距離。さらに秋篠寺、法華寺、西大寺なども近く、これから紅葉に染まる古都観光の足場にも絶好。

 そして温泉。泉質はナトリウム・塩化物泉で少し塩分を含み、ぬるりとした感触。浸かっていると古都散策の疲れも癒される感じで、露天風呂にある信楽焼の大きな樽風呂も風情があって面白い。

 食事は11月末まで秋の味覚いっぱいの3コースがあり、松茸、鮑、熊野和牛、なごり鱧、栗御飯などが楽しめる。

 従業員の応対がフレンドリーなのも印象的。10月20日には津軽三味線の演奏会を企画。2年後の「平城遷都1300年祭」に向けてプレイベントも増え、利用客も増えそうだ。 (木)

 ◆ メモ 近鉄大和西大寺から徒歩約15分、車で約3分。1泊2食(1室2人)1人1万125円〜。日帰り入浴は平日510円、土・日・休600円。TEL0742・33・2351
 
 
かんぽの宿富田林  
歴史語る白壁の町 山上の宿は泉州一望
 
   富田林といえばPL教団の打ち上げ花火しか知らなかったが、実に由緒ある町。金剛山西方の「かんぽの宿・富田林」をめざす前、近鉄の駅周辺を歩いて踏み込んだ寺内町(じないまち)は古色あるたたずまい。家並みは白壁で三階倉や四層の大屋根も見える。国重要文化財の旧杉山家住宅は元造り酒屋。明治の歌人・石上露子の生家でもある。
かんぽの宿富田林

 寺内町は戦国時代、真宗興正寺別院を創建した証秀上人が近隣の有力者を呼んで町造りさせた宗教自治都市。合議制で運営し商業が発達。ブドウを栽培して葡萄酒を名産品とし、文化的にも能や浄瑠璃が盛んで、庶民の間に俳諧も流行した。

 碁盤目を刻む町に残る500軒のうち約180軒が古民家。城之門筋は日本の道百選の一つで町の南端に「町中くわへきせる ひなわ火無用」と刻んだ道標が立っていた。

 夕刻、標高280メートルの嶽山に立つ宿に到着。頂上には楠木正成が築いた龍泉寺城址がある。5階展望室は360度パノラマで泉州を一望、大阪の夜景も楽しめる。宿の富田林嶽山温泉を浴びて食事。「秋のこだわり会席」は和牛と松茸の鍋、えび芋などの焼き物、かやくご飯。松茸を鍋の火で炙ってみたら最高だった。

 寝起きに露天風呂へ。水越峠を挟んで左に葛城山、右に金剛山。その上に朝日が昇った。瀧谷不動明王寺に詣でた帰途、ミカン狩りを誘う看板が目についた。 (崎)

 ◆メモ 泉質=ナトリウム・カルシウム塩化物▽効能=神経痛・疲労回復▽あし=近鉄富田林駅から送迎バス(要予約TEL0721・33・0700)▽1泊2食(2人1室)1万650円〜。11月からはカニ料理も。
 
 
かんぽの宿有馬  
さすがの湯に大満足 気配りと季節の味
 
   有馬温泉の玄関口・神戸電鉄有馬温泉駅周辺は熱気が強い。狭い坂道を行き交う観光客、ハイカー、間を縫うように走るバスやマイカー、軒を重ねる土産物店、ホテルなど密度の濃さも影響しているのだろうか。
かんぽの宿有馬

 温泉街を巡るボンネットタイプの「有馬ループバス」で温泉街の奥座敷「かんぽの宿・有馬」着。「いらっしゃいませ」と半纏姿に迎えられ、ロビーでお茶と漬物のサービス。部屋やトイレには「備長炭」を置く気配り。宿のチラシに載っているあいさつ文の顔写真で、出迎えて茶を運んでくれた人が総支配人と知った。自家源泉で豊富な湯量の「金泉」かけ流しと、季節の食材を生かした料理が売りだが、この「隠し味」も心をくすぐる。

 11月末までの「金風プラン」は土瓶蒸し、てんぷら、三田和牛とのすき鍋、そしてご飯でも松茸を楽しめ、さらに伊勢海老の姿造りも。食卓がパーテーションで仕切られた個室感覚なのもいい。

 金泉は含鉄ナトリウム塩化物強塩高温泉で1400年以上の歴史をもつ。湧出口で空気に触れて色づく。なめると辛いし、粘りがある。半身浴で汗がにじみ、肌はしっとり。自律神経失調、冷え性、腰痛などに悩む妻も「湯ざめせず、手足の血行がよくなった」と満足げ。色は褐色に思えたが、翌朝の朝風呂で朝日を受け、キラキラと輝く湯を見て納得した。

 和室中心の53室で200人収容は、近畿のかんぽの宿では最大クラス。金泉に紅葉が重なる有馬のクライマックスが近い。 (鶴)

 ◆メモ 梅田三番街ターミナル、阪急宝塚駅などから直通バス60〜40分。車なら中国自動車道西宮北、阪神高速北神戸線有馬口・西宮山口南各IC経由か「芦有ドライブウェイ」▽1泊2食(1室2人)1万335円〜。金風プランは同1万4500円。TEL078・904・0951。
 
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