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| 温室はすでに春 |
一堂に仏教5木 |
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日本でも有数のハスの群生地。琵琶湖岸に広がる「草津市立水生植物公園みずの森」が最もにぎわうのは7〜8月。今の時期はハスの種が水中で春の芽出しの準備を始め、水面では枯れたハスの茎の間を水鳥のオオバンが泳ぎ回っている。
対岸の雪をかぶった比良の山並みを背景にした茶褐色の風景も趣があるが、ここの冬の見どころは中央にあるロータス館。ロータスはハスとスイレンの総称で、名の通り温室の中はハスとスイレンを中心に多彩な水生植物や熱帯花木を鑑賞できる。案内してくれた緑化相談員の小丸さんによれば「なぜかバレンタインデーを過ぎると熱帯花木はいろんなものが咲き出す」そうで、まさにこれからが見頃となる。
熱帯スイレンでは、月光の色・ムーンビーム、日本では数少ないフォックスファイヤー、タイ原産・紫色のムラサキシキブ等々が微妙な色合いと美しい姿を見せてくれる。
「仏教五木」といわれるムユウジュ、インドボダイジュ、サラノキ、エンジュ、マンゴーもそろい、ここでしか見られないのがサラノキ。釈迦入滅時の花として知られる沙羅双樹のことで、2003年に日本で初めて開花した。日本原産のナツツバキとは異なり、小さく淡い白黄色の星形の花でジャスミンティーに似た芳香をもつという。隔年咲きで、今年は咲く年だそうだが、花を付けるかどうかはこれから蕾の状態で判断する。開花は3月から4月。電話で確認してから出かけたい。
温室の外はまだ緑が少ないが、寒咲きスイセンがあり、ボケも赤い花が咲き始めている。ミニハボタンやビオラ、プリムラなどの鉢植えも楽しめる。その間に南ア原産のキボウホウヒルムシロ(ミズサンザシ)というめずらしい花も水上に見つけた。 (木)
◆JR草津駅西口から烏丸半島行きバスで約25分。入園料・大人300円。月曜休園。TEL077・568・2332.徒歩5分の所に琵琶湖博物館。 |
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| ガイドに力入れ |
最古の園の自負 |
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北山通りと賀茂川にはさまれた24ヘクタールもの京都府立植物園は、公立の総合植物園としては最も古く1924(大正13)年1月の開園。85年の歩みの中で46(昭和21)年から12年間、連合軍に接収されて家族用住居のために7割の木が伐採される受難もあったが、61年4月に再開園。
松谷茂園長(59)は「1万2000種類12万株もの日本一の植物財産を人々に見てもらい、貴重な植物を後世に伝えることが、公共施設としての役割」と考える。手作りの「きまぐれ園だより」を2004年暮に始めていま205号。添える花の絵も、技術職員から「だんだん見られるようになってきましたね」とほめられるほど。
技術職員が交代で旬の植物を案内する「土曜ミニミニガイド」と、月の後半の日曜には「園長さんときまぐれ散歩」があり、平日はボランティアガイドが案内役。園の研修を終えた人たちで作るボランティア団体「なからぎ会」には130人以上が登録している。
この日のガイドに案内されたのは観覧温室(入室料200円)。「レンズが曇るのでカメラはしばらく使えません」の言葉通り、温かい湿気が身体を包む。9ゾーンの段差のない回遊式順路をゆっくり歩いて1時間、4500種類もの熱帯植物に出あう。3000年以上生きると言われる種子から育てた「奇想天外」、名のとおり砲丸に似た実のホウガンノキなど、説明を聞いてこそ驚きが増す。
「なからぎの森」は樹齢200年を超えるエノキやケヤキなどの貴重な自然林。鎮守の森内には上賀茂神社の末社がある。まさに「植物の博物館」。北山通りでちょっとお茶して再入園できるのもうれしい。今月20日からは北山門広場で2万株による「花の回廊」展が始まり、4月の正門付近は赤いチューリップとピンクの桜でさらに華やかになる。 (養)
◆地下鉄北山駅。入園料大人・200円。TEL075・701・0141。 |
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| 針葉・照葉・落葉 |
200万年前の森も |
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一抱えほどある幹がまっすぐに伸び、張り出した裸の枝が円錐を造る。樹高30メートルのメタセコイアの木立から降り積もったベージュ色の落葉を踏むと、くるぶしあたりまで沈み込み、足跡がまるで雪道のように点々と残る。冬枯れの森の張りつめた透明感と静寂。ここは約200万年前、地球上で繁栄していたであろうメタセコイアの樹容を現代によみがえらせた再現の森なのだ。
京阪電車交野線の終点私市(きさいち)駅前の住宅地を抜けて6,7分ほどでタイムトンネルの向こうに着ける。大阪市大理学部附属植物園。戦前は満蒙開拓の、戦後は外地からの帰還者の農事練習所だった丘陵地25ヘクタールが1950年、大市大に移管され、研究者と職員たちがシャベル、クワ、リヤカーの人力で木を植え続け、10年以上の時間と汗でつくりあげた森のドリームランドである。
潮風や乾燥土壌に耐える海岸型から沿岸山地のタブ型、シイ型や低地カシ型、高地カシ型といった照葉樹林、温帯北部や南部、暖帯の落葉樹林、さらに三つの針葉樹林まで、北海道の北部と沖縄を除く日本の代表的な11の森が自然に近いかたちで復元造成されている。人の管理を極力抑制し、森ごとの生態そのものが展示されるのは、他にちょっと例がない。日本を代表する植物生態学者の吉良竜夫名誉教授をはじめ歴代の理学部、植物園関係者が精魂を傾けてきた結晶だ。さらに日本や外国産樹木の見本園、菜園などが14カ所。収集、保全される植物は6700種類3万4000本になる。
そのひとつ、メタセコイアの森は、数奇の縁(えにし)を持つ。のちに園長となる故三木茂博士が化石から発見し、1941年に「メタセコイア属メタセコイア」と命名。絶滅種と見られていたが、45年に中国奥地で生存種が見つかり、種はカリフォルニアで育てられ、苗木が日本へ。その1本が植物園開園の年に根を下ろした歴史がある。
そんなさまざまな森を歩くうち、踏みしめる落ち葉の音にも違いがあることに気づき、日だまりで小指の先ほどの朱実をつけているツクバネ柿にいとしさを覚えた。約600本のツバキも咲き始めた。木々が萌える頃の再訪が楽しみだ。 (む)
◆入園料350円。月曜(祝日は除く)休園。水・土曜13時半からと5人以上の予約がある場合は職員がガイド。TEL072・891・2059。 |
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| 咲き競う椿700種 |
驚くほどに多彩 |
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豊中市の服部緑地にある大阪府都市緑化植物園は、冬こそが最高の季節。近畿を代表する椿(ツバキ)の園なのだ。「燃えるような花たちに出あってほしい」と願い、露地はもちろん、花の命と美しさを長らえさせるための専用温室で、日本はむろん世界各地のツバキ700種3000本が艶を競う。
その花たちをシニア・ボランティアが11時と14時からの2回、つきっきりでガイドしてくれる=写真。摂津市千里丘の武内靖雄さん(78)らがNPO法人・シニア自然大学の卒業生らに呼びかけて9年前に結成したグループ「この指たかれ」。明石から京都・亀岡に至る48人が加わり、1本ごとに樹種と番号を付けて分類。手入れ、開花、生育の調査を重ね、ポケット判の資料を手づくりしてきただけに、話にもツバキへの愛情と熱意がこもり、こちらまで通になった気分にさせられる。
ツバキはもともと日本に自生の固有種。「侘助(わびすけ)」に代表されるように、一重5枚のシンプルな花にわび・さびを感じ、茶道につなげて愛好してきた。シーボルトら外国人が種を持ち帰って冬に花がない欧州で珍重され、改良されて八重、おしべが花に変わる千重など洋種ツバキが次々生まれた。「日本からツバキが渡らなかったら、オペラ椿姫も生まれなかった」と武内さんらは解説する。おまけにツバキは突然変異を起こすから葉の形、花の色、枝によって花が異なる枝変わりも生まれる。
400平方メートルの椿山にはそんな変化自在の花と木が続く。さらに中国の雲南、ブータンなどアジア亜熱帯に分布するツバキ属の亜種、その改良種などが温室のカメリアルームで育てられる。葉がビワに似て八重の花が金色の金花茶(きんかちゃ=雲南)や、ピンクの花が厚手で蝋細工のようなハイドゥン(ベトナム)などを見ていると頭がくらくらしてくる。2月の終わり、この園のツバキたちの開花はピークを迎え、樹下には花のじゅうたんが敷かれる。 (す)
◆北大阪急行緑地公園駅。入園料270円。火曜休園。TEL06・6866・3622。 |
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| ゆかりの歌添え |
いにしえに誘う |
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「万葉集」にちなんだ植物園は全国に500近くあるといわれ、和歌山県立紀伊風土記の丘・万葉植物園もその一つ。JR和歌山駅に近い65ヘクタールもの広大な史跡公園、700基余の墳墓がある国の特別史跡「岩橋千塚古墳群」を中心とする風土記の丘。その入り口に広がる林に70種類の万葉植物が植えられている。
木々に付けられた歌の短冊や歌碑を読みながら山を歩けば、柿本人麻呂、山上憶良、読み人知らず…それぞれの歌から1300年前の人々の暮らしぶり、思いが伝わってくる。
いにしえ人は野山に分け入って草、木、花を摘み、それを食べ、薬にし、衣を染めた。万葉集4500首のうち、植物を詠んだ歌は1500。170種余りの植物が登場する。たとえばハギ142首、コウゾ(タエ)139首、モミジ137首、ウメ119首、ヌバタマ81首、マツ78首、イネ61首、アシ(ヨシ)52首・・・。
園に入ってすぐ、10本のアシビ(アセビ)の木がある。そこにつけられた短冊は
磯の上に生ふる馬酔木を 手折らめど 見すべき君 がありと言はなくに
(大伯皇女 巻二)
「アシビの花を見せてやりたいが、まだ生きていると誰も言ってはくれない」・・・草壁皇子との皇位継承争いに敗れ、24歳で無念の死を遂げた大津皇子をしのび、姉の大伯皇女が詠んだ歌だ。赤い数珠状の花房はまだ固く。スズランに似た花をつけるのは3月初めごろだが、短冊の下の一房だけが早咲きしていた。
アシビは漢字表記「馬酔木」が示すように毒性植物。万葉歌人はおおらかにその素朴な花姿を愛で、万葉集にも10首が含まれるが、平安以降は毒の花としてのイメージが強まっていく。移ろう花の盛衰に想像を膨らませていると、万葉歌を朗々と詠う声。山元晃さん(65)は風土記の丘の植物担当学芸員。「犬養孝先生の調子とはちょっと違いますが…」と、見学客らに披露する。
万葉植物園を起点に約2時間で紀伊風土記の丘を一周できる。和歌山市内を一望でき、ハイキングや散歩コースとして人気がある。 (邦)
◆JR和歌山駅からバス20分。入園無料。TEL073・471・6123。 |
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