ニューシニアの情報新聞「フロンティアエイジ」6月プレミアム号
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2010年6月プレミアム号第3面 プレミアム号index
 
旅−歴史を歩けば 南但馬の養父・村岡
 かねて気にかかっていた遺跡と名水を訪ねるため、兵庫県の但馬南部に向かって車を走らせた。抱いていた古代への謎はさらに深まったが、好天に恵まれて豊かな自然に癒され、歴史と水を堪能する一日となった。(高橋 徹)
僻地の宝刀 山峡の大名  
 最初の目的地は26年前、全国で2例目の「年号入り鉄の大刀」が発見されてマスコミをにぎわせた養父(やぶ)市八鹿町の箕谷(みいだに)古墳群。播但連絡道の和田山ICで降り、国道9号八鹿バイパスのトンネルを抜けてしばらく行くと「史跡 箕谷古墳群」の標識があった。鉄刀は公園建設に伴う調査で出土した。
箕谷2号墳、猿尾滝、耀子の清水

 ゆるやかな山の斜面に復元整備された四つの円墳。「戊辰年五月□」と銅象嵌された大刀が見つかった2号墳は東西12メートル、南北14メートル、高さ約3メートルの小規模なもの。石室の天井石を1枚はずし、光が差し込むように工夫されている。レプリカの大刀や土器類が並べられ、発掘時の様子を目の当たりにする思い。「戊辰年」は608年にあたると説明してあった。大和王権の基礎が固まる時期のことである。

 当時在籍した新聞に「千に一つもないといわれる銘文入り刀剣がなぜ、古代史の空白地帯と言われる但馬で出土したのか」という記事を書いた。その後、この大刀について書かれたものの中に、その「なぜ」を解くものに出あわないこともあって訪ねてきたのだが、そばに立つ立派な説明板を読んでもまだ、「なぜ」は解けていないようだった。
名水の里に「戊辰」の謎  
 次に向かったのは香美町村岡区。香住海岸に注ぐ矢田川の上流、湯舟川と昆陽川が合流する谷間の旧城下町である。藩主の山名家はもともと守護大名として山陰をおさめた名門。盛衰を経て関ケ原の戦いの後は豊臣方についた但馬山名家に代わり、徳川家康に従った因幡山名家が大名待遇とはいえ6700石の旗本として村岡に所領を与えられたが、明治2(1869)年に維新政府から1万1000石に高直しして村岡藩の立藩を認められ、諸候(大名)に列せられた珍しい歴史を持つ。
桂の千年水・柳田國男生家

 維新政府による武力討幕が始まった明治元年の干支も戊辰。その戊辰戦争のさ中に山名家が異例の扱いを受けたのは、反幕府だったことに加え、領地が山陰道の要所にあったためのようだ。それを1260年さかのぼる戊辰年の銘を持つ鉄刀とともに被葬者が眠っていた箕谷古墳群も、当時の瀬戸内と日本海側を結ぶ主要ルートだった円山川沿いにある。あるいは、山名家と似たような理由で、大和王権から貴重な大刀を授かったのではないだろうか。

 そんないきさつから村岡は陣屋だけで城のない城下町だが、旧街道筋の町家が往時の面影を伝えており、山間部の集落だけに自慢の一つは清流や名水。湯舟川東岸の山中には日本の滝100選に選ばれた「猿尾滝」や「耀子(かかご)の清水」(恵みの水66番)があった。耀子の清水は、この水を産湯に使うと子供がすこやかに育つと伝わる。

 西岸の台地の上には「兎和野桂の清水」(同65番)があった。樹齢500年の桂の根元からとうとうと流れている。「和池桂の清水」(同64番)は但馬高原植物園(有料94)内にあるが、すぐ近くの道路わきにある「桂の千年水」は平成の名水100選に選ばれており、付近には他にも数多くの名水があった。

 帰路、西播磨の福崎で民俗学の父・柳田國男生家を訪ねた。「家の小ささが、私を民俗学にかりたてた」と柳田が書いた記述通りの家だった。
7月7日「恵みの水」ウォーク 西播磨〜南但馬 40人限定で募集
 第10回「恵みの水」巡礼ウオークは7月7日、このページで紹介している西播磨から但馬南部を訪ねます。今回も柴山元彦代表ら「湧き水サーベイ関西」のスタッフ3人と高橋徹本紙編集委員が同行解説します。

 朝8時に大阪駅前に集合して貸し切りバスで出発。福崎の柳田國男生家、豊岡の但馬国分寺跡を経て村岡の猿尾滝ほか3カ所の名水を訪ね、箕谷古墳群を見学して夕刻に帰着します。

 食事代込み1万3000円で定員先着40人。申し込みは日興トラベル大阪営業所TEL0120・039・253へ。
ASA(朝日新聞販売店)は元気シニアを応援します。
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