ニューシニアの情報新聞「フロンティアエイジ」6月プレミアム号
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2011年2月プレミアム号第3面 プレミアム号index
  スローが似合う若狭
三方五湖地方の地図
 「こころの時計をはずす旅、スロウにいこう」という観光パンフのキャッチフレーズにひかれ、初冬の福井県若狭町を訪れた。三方五湖をはじめ豊かな自然に恵まれた地で、のんびりと非日常の空間に身を置くことができた1泊2日の旅だった。(木下二二男)
情緒残す熊川宿恋実る和号神社 
 若狭町は05(平成17)年に三方町と上中町が合併して誕生した。その上中地区にある熊川宿は、日本海と畿内を結ぶ若狭街道沿いに栄えた宿場町。重要伝統的建造物群保存地区で「厨子二階」といわれる2階の背が低い町家や防火用の「袖壁卯建(うだつ)」を持つ建物が300年以上も前の街道の姿をしのばせる。中ほどにある「まる志ん」で鯖ずしと名産の葛を使ったうどんの昼食をとりながら、この道が鯖街道とも呼ばれたことを思い出した。
熊川宿と瓜割の滝

  午後は「瓜割の滝」へ。ウリも割れるほどの冷たさから名がついたとされる滝の水は環境省選定の名水100選の一つ。近くにアジサイ園もあり、夏場が良さそうだと思いながら、JR三方駅近くまで戻り「三方石観世音」に参詣。本堂には弘法大師一夜の作といわれる聖観世音菩薩像が安置されている。大師が夜明けを告げる鶏の声で未完のまま彫るのを止めたため「片手観音」と呼ばれ、手足の病気や怪我にご利益があるというが、33年に一度のご開帳の次回は15年後とか。

 宿泊は若狭湾に突き出た常神半島の神子(みこ)地区の民宿「藤乃屋」。若狭町の宿泊施設はほとんどが民宿。漁業や農業との兼業で99軒ほどあるという。トラフグの養殖もしているこの宿で、フグ尽くしの夕食。甘みがのったフグを刺身、から揚げ、焼き物、鍋でたっぷり味わう。注文があれば6月まで出すそうだが、冬のカニ、秋のアオリイカなど日本海の旬の味覚も魅力の宿(民宿の若狭ふぐコース1泊2食はおおむね1万2000円)だ。神子地区は4月上旬、ヤマザクラで山が白く染まる。
三方五湖を巡り水鳥にも出あう  
2日目は有料道路レインボーライン(普通車1000円)とケーブルカーで標高395メートルの梅丈岳に登った。頂上からは美浜町にまたがる三方五湖や若狭湾が一望できる。ここは「恋人の聖地」だそうで、和合神社や誓いの鍵、かわらけなどのグッズもあり、恋愛成就を願う若者に人気があるそうだ。
三方湖畔の梅林と和合神社

 美浜町側の久々子湖から出るジェットクルーズ(1210円)は、浦見川を経て日向湖を除く4つの湖を50分ほどで巡る。日本海から海水が入り込むが塩分濃度はすべて異なり、最も内陸部にある三方湖だけは淡水。水深や水質も異なるため湖面の色が五色に輝いて見えるといわれる。水鳥が生息する重要湿地としてラムサール条約に登録されており、冬はオオバンやカイツブリのほか、絶滅危惧種といわれるオオワシやオジロワシも見られるという。湖面は鏡のように滑らかで静か。周囲の風景もほとんど自然のままなのがいい。

 三方湖の周囲には梅林が多い。天保時代からの梅の産地で、これからの季節、湖畔の梅の花が見ごろとなる。実は果肉が厚く柔らかで種が小さいのが特徴とか。JA梅の里会館には梅干や梅ワインをはじめ梅の加工品がいっぱいだった。

 スローな旅は縄文時代にまで遡る。クルーズの後に梅原猛氏が館長の「若狭三方縄文博物館」を訪れた。三方湖ほとりの鳥浜貝塚から縄文時代の遺物が数多く発掘され、10年前にオープンした博物館。土器や丸木船など、縄文時代の人々の暮らしをうかがえる展示がされている。勾玉や土笛つくり、火おこしなどの体験学習も行われているそうだ。
若狭三方縄文博物館

 おだやかで自然いっぱいの町、観光スポットを巡るには車が効率的だが自転車で湖畔を巡るサイクリングロードを走るスローな旅もいい。毎年5月(今年は第4土・日曜)には若狭町一帯で「若狭・三方五湖ツーデーマーチ」も行われ、民宿での海の幸を楽しみに参加する人も多い。旅の最後は三方駅近くの日帰り温泉「みかた温泉きららの湯」へ。ナトリウム・塩化物強塩泉の天然温泉(600円)で、旅の疲れをほぐして帰途についた。

 問い合わせは若狭三方五湖観光協会(TEL0770・45・0113)か http://www.wakasa-mikatagoko.jp/で。
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