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| 神坂 次郎さん(78) |
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「元気の秘密? それは好奇心でしょうか。肉体的には衰えを感じます。でも好奇心はまだまだ。とりわけ未知の人との出会いはいつも楽しい」
作家としての本格的な出発は30歳を過ぎてから。それに和歌山という地方暮らし。決して恵まれた条件にはないが、すでに100余冊を世に問うた。『元禄御畳奉行の日記』『今日われ生きてあり』『縛られた巨人』など、話題となった作も多い。
「足で書いている。まるで新聞記者」。尊敬する司馬遼太郎さんから、そう言われたことがある。事前の取材にこだわる。『縛られた巨人』は、和歌山が生んだ世界的な博物学者・南方熊楠を広く世間に知らせた名著だが、脱稿までに30年かかった。熊楠が知識を最も蓄積したのは、大英博物館に通ったロンドン時代だが、「どの道を通ったのか」「何を食べたのか」まで徹底的に調べた。
作家のほかに火縄銃の研究、演武家としても知られる。20世紀最後のリスボン万博では、仲間たちを連れて実技披露した。もとはといえば、歴史小説を書くうえで扱い方に興味を持ち、調べるうち「深みはまった」。
「私の定年は18歳だった」が口癖。志願して飛行兵になり、出撃の直前に終戦を迎えた。同じ飛行兵の多くが特攻攻撃で亡くなった。「それ以後は余生。いつ倒れても悔いはない」という思いで過ごしてきた。
今も徹夜で執筆することが少なくない。太り気味で運動不足。「酒を控えなさい」という医師の注意が守られている様子はない。パーティーに招かれると喜んで出かける。人との出会いが大好きだからだ。未知の風土との出会いにも心躍るのか、海外への独り旅も多い。
取材の途中、福岡のテレビ局から出演依頼の電話がかかった。こだわって書き続けている、特攻隊に関する番組づくりらしく、「時間の調整がつけば喜んで」と答えた後、電話を切りながらこちらを見て「未知の人と会える良い機会ですから」とほほ笑んだ。 (高) |
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