ニューシニアの情報新聞「フロンティアエイジ」
フロンティアエイジ=新時代の開拓者 フロンティアエイジ
元気のヒミツ  
   
 
北大路 欣也さん(63) 2006年6月号
自らの生き様も名裁き  
 
   時代劇の大御所、市川右太衛門の次男に生まれ、13歳でデビューして俳優生活50年。父の当たり役「旗本退屈男」を継ぐほか「アラスカ物語」「八甲田山」「空海」「夢千代日記」などの演技で日本アカデミー賞、「佐渡島他吉の生涯」で菊田一夫演劇賞と芸域は広い。テレビドラマ「名奉行 大岡越前」(朝日系で火曜日放映中)の制作が進む東映京都撮影所を訪ねると、本番のままの姿で現れた。

 「初めの10年は親父がいてのことで、僕にとっての現役はまだ40年。それだって一人では何もできない。仕事をする多くの人の輪の中で、がんばる力をもらいながらやってきた。その輪の積み重ねです」

 「大岡越前」シリーズは3ヵ月で1時間もの10話を撮る。この間、東京の自宅に戻れるのは1日だけ。裁きを言い渡すハイライトの撮影は今も緊張し、前日は早帰りして体調を整え、役作りに集中する。「仕事を本当に大切にする人」とスタッフは舌を巻く。

 「人間が1年を通してベストの力を発揮できるのは3割。その3割のために努力する。野球選手もそうじゃないですか。連続出場記録の阪神・金本選手が、人に見えないところでどんな努力をしてきたか」。だから体が出す不調の信号には早めに対応する。酒もたばこもやめて久しく、食事の好き嫌いもない。「いいものをつくろうときつい思いをした時は、必ずお客さんが評価してくれます」

 父右太衛門が81歳で立ち回りを演じた時、表は迫真の演技。カメラから外れた背中はハア、ハアと大息で揺れていた。役者魂のすごさを知った。「60歳は鼻垂れ小僧、と親父はしょっちゅう言っていた。僕はやっと50歳の役ができるようになった程度。多くの先輩たちの生き様を見てきたけど、すごい人がいっぱいいる。怖いけどやさしい。厳しさと優しさの幅はとても広い。人生を幾重にも生きられる役者の仕事、僕はどんなことがあっても続けねばならない」 (む)
     
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