ニューシニアの必読紙「フロンティアエイジ」
フロンティアエイジ=新時代の開拓者 フロンティアエイジ
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橘 右佐喜さん 2006年11月号
感謝と微笑み忘れずに  
 
   寄席文字は縁起文字。橘右佐喜(たちばな・うさぎ)さんは「ええことがいっぱいありますように」と願いを込め、微 笑みを絶やさずに筆を執る。この道20数年。毎年9月、大阪市内である上方落語協会主催の「彦八まつり」に、実演即売の屋台を出す。「今年も大忙しで、2日間で2百枚強は書きました」

 落語会出演者の名前や演目を書く際に使われる寄席文字。独特の書体で右肩上がりに書く。東京の橘右近(95年死去)の書いたものでこれを知ったのは、小学校入学前の2児がいて専業主婦だった頃。まず師匠の手本で練習し、その後何度も上京して直接教わり、名前を許された。92年に始まったテレビ番組「らくごのご」で寄席文字を担当し、広く知られるようになる。

  写真の「繁昌亭」の文字は、右佐喜さんの書。9月にオープンした上方落語協会の定席「天満天神繁昌亭」前で撮影した。この席で使われる噺家の名前を書いた名びらも、右佐喜さん筆だ。地元の奈良などで教室を開いて教えてもいる。

 「らくごのご」の頃、大腸がんと宣告されて手術を受けた。「それからは、自分の体で起きることは自分の責任、と必ずチェックしています」

 微笑みの元は自分史に連なる。小学生の時に父親を亡くした。それからはずうっと「暗い子」だった。「転機は高校生の時。同じ学年にいつも微笑みをたたえている人がいた。会うとホッとする気分になった。私もそうなりたいと思った」。今も辛いことがあると、自分で自分に微笑む。「よう頑張ってるよねぇ」と自分で自分をねぎらう。

 それと忘れないのは感謝の心だ。一つは名前をいただいた師匠へ。そのお陰で今がある、と常に師匠の文字を模写し、励みにする。もう一つは家族へ。「習い始めた当時も、そして今も家族の支えがあるからこそ、やっていける」。周囲への感謝と、楽しい気持ちで筆を執ることが、自身の健康にもつながる。 (ぶ)
     
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