ニューシニアの必読紙「フロンティアエイジ」
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露の五郎兵衛さん(75) 2007年10月号
「ええ患者」で大病克服  
 
   噺家(はなしか)生活60年の間に、大病を3度患った。いずれも脳の血管に関する病気。半身不随どころか噺家の生命線である言葉が出なくなったが、3度とも見事に克服、舞台に戻った。

 94年、上方落語協会の会長に就任する。悲願は、いつでも落語の演じられる寄席小屋を持つこと。それが昨年9月、「天満天神繁昌亭」として実現した。その1周年記念興行では満席のお客さんを前に「夕立屋」を演じた。足を痛めていて、舞台では床几(しょうぎ)に腰掛けて話す。江戸時代に活躍した落語家の祖・初代露の五郎兵衛(ごろべえ)と同じ姿である。
露の五郎兵衛さん

 大病から立ち直れたのは「手当てがよかったんでしょうなあ。動きもしゃべりも突然、戻ってきました。奇跡ですね。お医者さんはあきれかえってました」と、自身の努力より幸運と自然治癒を強調する。

 倒れるまでの酒・たばこの量は、尋常ではない。「遊びが好きでっさかい、クラブ回ったら1本(ブランデー)は空けます。最高は一晩で7本」「たばこは1日120本。高座に上がったら弟子が脇で灰皿とたばこを持って控えてる。終えたらすぐ吸えるようにと」

 それが今、ビールはコップ2杯、たばこはゼロ。「病気になったらええ患者になれ、が私の持論です。先生の言うことをよく守ること。入院中は教え通りに酒・たばこはやめてましたから、退院後も苦しまずにその状態を続けられたんです」

 03年の3度目の大病後、キリスト教の洗礼を受けた。娘さんが牧師と結婚していた縁もあるが「命拾いができたのは、単なるラッキーやない。誰ぞが生かしてくれてはるのや」と感じたからだ。日曜日には必ず教会の礼拝に出席する。

 これからも先輩から伝えられた噺の復活など、いろんなことを手がけながら舞台に立ち続けるという。そして「『五郎兵衛はついに未完成のまま死によったなあ』と言われたい」。それが念願だ。 (ぶ)
     
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