ニューシニアの情報新聞「フロンティアエイジ」
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  移住・田舎暮らし  
零細林を宝の山に 2010年1月号
 
 
都会の知恵と力借りて 小さな村の大きな挑戦 岡山県の西粟倉村
 
   見放されていた零細林を、都会の人材と知恵、消費力や資金力を借りて宝の山に変える壮大な「100年の森林(もり)づくり」が岡山県西粟倉村で進んでいる。各方面のプロなど20〜60代の17人が家族と共に移り住み、林業現場や木工制作、木製品の商社拠点「森の学校」などで精力的に活動する。小さな村の大きな挑戦に見学者が絶えない。 (むかひら・すすむ)  
 
集中管理で間伐材活用 多彩な人材続々と移住
 
 
森の学校
  西粟倉村は鳥取、兵庫両県に接し、県内で2番目に小さな自治体。面積の95%が森林、人口1600人で高齢化率32%。この10年、過疎に加えて市場原理や構造改革の荒波を受けた。ITや縫製など3工場が村から消え、農協、森林組合、郵便局や学校も再編。村の経費削減が続き、村きっての農家を継いだ道上正寿村長(59)も「妻に内緒で生活費の一部を農協から借りた」歳月が流れ、農林業の衰退を痛感した。

 3期目の村長を務める中で「合併されれば、さらに住民サービスが低下する」と平成大合併の協議からの離脱を決断。小さくても自立できる仕組みを創る道を選んだ。村にある樹齢50年ものスギ、ヒノキの人工林5000ヘクタール。その先祖の遺産を、あと50年かけて「100年の森林」に磨き上げるプランだ。
 
    数十アール単位の零細な山林は労力がかかり、杉材1立方メートル1万円では放置するほかない現状を打開するため、山々を村が預かって作業道を作り、機械化による間伐で集約管理して間伐材を村内で加工、販売すれば雇用も生み出せる。道上さんは50回も地区懇談会を開いて説き、09年4月にスタートした。
間伐材で作る家といす

 この構想を後押しするのは、地域再生事業を支援する東京のコンサルティング会社アミタ。総合プロデューサーとして04年にやってきた牧大介さん(35)は京大で林学を専攻、三和総研に7年いた後、アミタの持続可能経済研究所長も。村とアミタの子会社が廃校の小学校を利用して設立した(株)西粟倉・森の学校代表取締役として、地域おこしの有効プランを次々と繰り出す。

スタッフ8人のうち7人が移住者。大阪でインテリアデザイナーをしていた須賀誠一さん(65)が描いた設計図は机、いすから遊具、住宅まで300枚。それを阪神大震災後にUターンした國里哲也さん(36)が、首都圏や関西圏から移住した若者らとの木の工房で商品化する。

 大阪や岡山などで高額の年収を得ていたすご腕の営業マンたちも加わり、須賀さんらデザイナー3人の作品を村内産の米、野菜と併せて関西の幼稚園に売り込む。ここ3カ月の訪問は140園。天然無垢材の良さを幼時から体験し、将来は西粟倉材で家を建ててもらおうという長期戦略だ。
道上正寿村長

 高性能機械購入などの資金として09年、インターネットで募った「共有の森ファンド」(1口5万円)には、1カ月で都市圏から400口余の応募があった。それはその数だけの「村外村民」の誕生でもあった。若い働き手を呼び込む「森の村振興公社」の活動も順調。道上村長は「活性化の原点は人と心。これからが楽しみ」と50年後の美林に夢をふくらませる。

 森の学校はTEL0868・73・0338。
 
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