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| 筆の先でドガチャガ |
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古着屋にべっぴんの女子衆(おなごし=お手伝いさん)がやってくる。この女性によく思われようと、一番番頭が得々と話す。「気に入った古着があったら言いなはれ。お金? ちょっとずつ入れ掛けにして、何回かお金入れたら、帳面の方は筆の先でドガチャガ、ドガチャガ・・・・・・。知らん間に欲しいモンが手に入ります」。落語『口入屋(くちいれや)』の一幕だ。
古典落語にはこんな実力≠持つ番頭が顔を出す噺(はなし)が、いくつかある。『足上がり』では、番頭が中座の芝居を桟敷で見る。芸妓はん、お茶屋のお内儀(かみ)さんをはべらせ、ご馳走をぎょうさん並べて、お供の丁稚には小遣いまで渡す。お金の出所を丁稚に聞かれて番頭が答える。「こらみな、筆の先から出るんや。お前も今にわかる」。
この「ドガチャガ」の大掛かりなものが、検察庁の手が入った橋梁工事の談合だ。道路公団OBを多数抱えた業者ほどたくさん受注し、その人脈で予定工事価格を聞き出して落札。30兆円の赤字を抱える公団から、本来の利益以上の儲けを稼ぎ出していた。大阪市から始まって各地で明らかになった職員のヤミ退職金、年金受給では、何だかんだの口実を設けて自分たちへの厚遇策を引き出していた。落語の番頭さんの稼ぎと違って、これらのお金は通行料や税金といった公金。しかも巨額である。
『百年目』という噺では、番頭の不正を知った旦那が「帳簿を調べたが穴がない」と逆に感心し、その才能を商売に生かせと諭す。前述の『足上がり』では、旦那が「飼い犬に手を噛まれたとは、このことじゃ」と怒り、番頭は上方言葉で「クビ」になる意味の「足が上がり」をさせられることになる。
公団や公務員に対しては?
当然「ドガチャガ」で済ませられる話ではない。どんな「筆の先」があったのか、その実態を糾明し、不正には断固たる態度、決断をしてほしいものだ。 (演芸ライター) |
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