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飴は「ロレロレロレ」
  上田 文世
 
   「春雨が○○○○降る」「飴を○○○○なめる」。国語の問題だと、○の中に入れる文字は「シトシト」「ペロペロ」が正解になる。上方落語の次代を担う一人と目される笑福亭三喬さん(45)が中学2年の時、この問題を見て思ったのは「正解は誰が決めたん? その人の感性によって違うんちゃうの」だった。

 そんな時にラジオから流れてきたのが落語『初天神』。悪さ盛りの子どもを連れた父親が、天神さんへお詣りに行く噺だ。「なんぞ買うてくれたら大人しゅうする」という子どもに父親は飴玉を買い、長持ちさせるために言う。「口の中でロレロレロレロレしとれよ。かんだら張り倒す」

 「そうや、飴はロレロレなめるもんや」。参拝客と屋台で賑わう天神さんの境内。子どもにせがまれ難儀する父親などの情景が鮮やかに浮かび、三喬さんはこの瞬間、落語に魅せられてしまったという。

 日本語には擬態語、擬音語が沢山ある。「とことこ、てくてく、すたすた、ぐんぐん、のしのし、そろそろ、ぶらぶら、さくさく」。歩く様子を集めた、サプリメントの新聞広告だ。サトウキビは「ざわわ」と風に揺れ、印刷機は「スチャタスチャタ」と音をたてる。

 落語でも「ヨイトサノヨイヨイ」「ヨイヨイヨイトサ」と歩いてきた男が「ジャジャジャージャー」「チョビン、チョビン」と立ち小便(『へっつい盗人』)など、ふんだんに登場する。英語で演じる時はどうなるのか。「訳さないことにしています」と大島希巳江・文京学院大助教授。97年から英語落語をプロデュースし、毎年海外公演ツアーを主宰している。ではどうするのか。英語でちょっと説明を加えれば、擬音はそのまま使って大丈夫というのだ。

 「「皿屋敷」で腰元お菊が刀で切られ、井戸に捨てられるシーン。バサーッ、ドボーンをそのまま使います」「ここで観客は拍手喝采、大爆笑です。殺される場面でですよ。何じゃその音って思うんでしょうかね。でも、これでよく通じるんです」  (演芸ライター)
     
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