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| 生まれたら働かないかん |
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上田 文世 |
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アルバイトで生計を立てる若者は「フリーター」と呼ばれ、その数は今200万人を超すと言われる。さらに「ニート」と呼ばれ、学校にも仕事にもいけない若者が増えていて、社会がどのように対応していけばいいのか、今や大きな問題となっている。
落語の世界でも同じような登場人物はいるが、いたってノホホンとしているのが特徴だ。横町(よこまち)の甚兵衛さんに「どないしてご飯を食べてんねん」と尋ねられ、以下のような問答になる。
「茶碗と箸で」「その茶碗へ入れるご飯は」「おひつから」「おひつの飯は」「釜から移すわ」「釜の米は」「米かし桶から入れまんねん」「米かし桶の米は」「米櫃(げびつ)から移すがな」「米櫃の米は」「米屋が運んでくる」「米屋の払いは」「それは倒す」
これでは米屋さんがかないませんが、上方落語ではそんな気楽な男を相手に、好人物の甚兵衛さんが世話を焼く。「人間とにかく、生まれたら働かないかんやないか」と諭し、「ぶらぶら遊んでたらあけへん。ちょっとした金儲けがあんねんやが、やれへんか」と仕事の紹介ばかりか、商いのコツまで教えてあげる(『商売根問(ねどい)』『みかん屋』など)。
現代の若者にフリーターやニートが多いのは、働く場所が少ないことも一因だ。新聞記事によると、やっと得た職場は、一日中タマネギの処理に追いまくられるところで、しかも時間給は基準以下だったり、あるいはティッシュ配りだったりで、それにも査定があって配り方で賃金が上下する。先端工場で辛抱して勤め、正社員に教えるほどの技術を習得しても、期限が来たり病気になればお払い箱、という場合もある。
こんな職場や扱いが、前途にあると知ったら「人間、働かないかん」が信条の甚兵衛さんでも、果たして世話をする気になるだろうか。目をつぶって勧めたとしても「疲れん程度に、まあまあ気楽にやりなはれ」としか、言いようがないだろう。 (演芸ライター) |
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