ニューシニアの情報新聞「フロンティアエイジ」
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わたいは疑りぶか〜い
  上田 文世
 
   6月号の本紙に紹介されていたが、私の住む大阪・池田市に「落語みゅーじあむ」が出来た。昭和初期に建てられた2階建てを改装し、落語の舞台や大正時代の噺家さんの部屋が再現された。著名噺家の名人芸などが、音や映像で楽しむことが出来、時々落語会も開かれている。

 上方落語に池田がよく登場することが、ユニークな施設の誕生につながった。ゆかりの噺の一つに「池田の猪(しし)買い」がある。

 トレトレの猪肉を求めてある男、歩いて大阪の町中から池田へ向かう。猟師の家に着き「一昨日獲った猪だ」と薦められるが、男は「わたいは疑りぶか〜い人間でんねン。おととい(一昨日)獲ったか、おととし(一昨年)獲ったか、素人には分からん」と信用しない。やむなく猟師は客と山に入り、その目前で鉄砲を撃って猪を倒す。それでも客人は疑うので、猟師が鉄砲の台尻で猪を叩くと、気絶していただけだった猪はトコトコ…。「どうじゃ客人、あの通り新しい」

 ここまで疑い深くなくても、現実の振り込め詐欺、架空請求、利殖商法、税金や年金の還付金詐欺など一連の被害をみていると、もう少し疑ってかかれば避けられたのではと思ってしまう。

  こうした商法ともう30年以上も闘っている「悪徳商法被害者対策委員会」(東京)の堺次夫会長は、彼らの手口はますます進化・巧妙化し、疑問をただしても「ああ言えばこう逃れ、こう言えばああ答え」と相手をおだて上げて誘い込み、取れるとなると葬式費用でも持っていく。その悪らつぶりからみると「ただただ疑り深い」だけでは、彼らの魔手から逃れられないと話す。未だ金利が低く、自宅にすぐに動かせる現金があるので、儲かる話には弱いといった背景も指摘する。

 ワルには効き目が薄いかもしれないが、参院選の投票ではどうだろうか。候補者の弁舌に「わたいは疑りぶか〜い人間でんねン」と耳を傾け「よーく考えて」投票しようと思っている。 (演芸ライター)
     
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