ニューシニアの情報新聞「フロンティアエイジ」
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小判の漬物になりぞこのうたぁ 2007年9月号
  上田 文世
 
   手紙や新聞、チラシなどが入っているはずの郵便受けに、ドカッと札束が入っていたら、誰もがきっと目の玉が飛び出すほど驚くであろう。そんなことが今年の夏、あちこちであった。

 例えば、東京都文京区では最高12万円入りの茶封筒が計13世帯に入っていた。兵庫県三田市では2軒の民家に計400万円、京都府向日市では1000万円入り紙袋があったといった具合。金の処分に悩んでいる人が、あちこちで随分と多いようだ。
演芸めいげん2007年9月号

 「莨(たばこ)の火」という上方落語がある。身なりのよい老人が料亭に上がる。舞妓衆、芸妓衆らを呼んで遊び、若い者に帳場から1両、2両、10両・・・と立て替えさせる。50両になったところで帳場が断ると老人は、持参の風呂敷包みから小判を出して倍額返しにしたうえ残りを座敷にまき、拾い集める様を楽しんで帰っていく。

 どんな人か。若い者が後をつけると、鴻池のご本宅の客人で和泉の大金満家。その家の人から、言われた通りにお金を立て替え続けていたら気に入られ「四斗樽にお前を座らせ、周囲を小判で詰め、頭に千両箱を乗せてもらえたものを」と教えられる。「小判のこうこ(漬物)になりぞこのうたぁ」と若い者。今度こそはと、手ぐすねひいてお越しを待つ中へ現れた老人。「ちょっと莨の火が借りたいのじゃ」。演じ方次第では嫌みが残る噺だが、ポストに入れられた素性の分からぬお金とは違って、こっちの方は受け取りやすい。

 同じく落語「はてなの茶碗」では、京都の茶道具屋さんが手に入れた8文ほどの茶碗が、ひょんなことから1000両の値打ちが付いて帰ってくる。茶道具屋さんは、茶碗を持ち込んだ男に500両を渡してこう言う。「残りのお金は、京にも困ってはるお方が多いと聞いてるので、出来るだけ施しをしてさしあげたい」

 有り余るお金の処分に、お悩みのお方。落語会にでも行って使い方を研究してみませんか。木戸銭は1万円出せば、お釣りがいっぱい出ますよ。 (演芸ライター)
     
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