ニューシニアの情報新聞「フロンティアエイジ」
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身から出たサビでおます 2007年10月号
  上田 文世
 
   横綱・朝青龍が8月下旬、大騒ぎの末に病気治療のため、モンゴルに帰国した。騒ぎの発端はこの約1カ月前。朝青龍は「腰の疲労骨折とひじ痛」の診断書を出し、夏巡業を休場した。ところがまもなく日本のテレビに何と、故国でサッカーに興じる朝青龍の姿が・・・

 上方落語「花筏(はないかだ)」は、この「朝青龍騒動」を彷彿とさせる噺だ。
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 人気大関・花筏が10日間の地方巡業に呼ばれた。しかし花筏は病気で相撲が取れない。そこで親方は姿・形がそっくりの提灯屋を身代わりにして巡業地へ。「花筏は病気」と断り、毎日土俵入りの真似ごとだけで切り抜ける。だが「明日は千秋楽」となったところで花筏(実は提灯屋)の仮病がばれる。ばれるはずだ。提灯屋は宿で飯は1升、酒は2升 平らげ、夜中には宿の女子衆(おなごし)に手を出す始末。

 相撲を取らざるを得なくなった提灯屋。「身から出たサビでおます」と覚悟を決め、千秋楽の土俵へ。親方に教えられた通りに立ち上がり、夢中で両手を突き出して、土地の強豪素人力士を張り飛ばしてしまう。「張るのがうまいはず。提灯屋さんですから」が、この落語のサゲだ。

 さて、現実の朝青龍騒ぎ、今の落語家さんたちならどう料理するだろうか。ある日の楽屋で聞いてみた。

 「モンゴルに行ったら、そっくりさんがようけおるはずや。それを連れてきて、身代わりにする」「サゲは?」「その代役がモンゴルに帰る。サッカーやってテレビに映る。身元が分かって、またまた大騒ぎ」

 これではいつまで経っても解決しませんが、それにしても健気(けなげ)なのは提灯屋。「わてが悪いんでっさかい、土俵でたたき殺されても自業自得です」と、びびりながらも一生懸命に努める。「身から出たサビ」をほったらかしにし、責任を取らない輩が、あちこちで多いこの頃、ここのところをよーくかみしめて、落語を聞いてほしい。  (演芸ライター)
     
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