ニューシニアの情報新聞「フロンティアエイジ」
フロンティアエイジ=新時代の開拓者 フロンティアエイジ
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はやいなぁー!! 2007年12月号
  上田 文世
 
   お月さん、お日さん、雷が一緒に旅行した。宿に泊まって朝になると、月も日も既に出立している。「月日のたつのは早い」と雷。宿の主人に「あなたはいつお発ち?」と尋ねられて「わしは夕立や、ゴロゴロッー」。

 今年も残り1カ月弱。この小咄が言うように月日の経つのは早い。

 「『猫の忠信」という上方落語がある。浄瑠璃の稽古屋で別嬪(べっぴん)の師匠と常吉が、でれでれと酒を飲んでいる。次郎吉がそれを見て、常吉の女房に教えようと常吉宅へ。しかし、そこに常吉がいる。稽古屋に戻るとやはりそこにも常吉が。「はやいなぁー!!」と次郎吉。「両家の間に抜け穴があって、行き来してるんや」と感心するのだが、実は猫が常吉に化けていたのである。
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 私にとって「はやいなぁー!!」と実感するのは、通信機器の発達だ。1965年、新聞社に入って鹿児島へ配属。奄美や沖永良部などの島々とはダイヤル即通話とは行かず、「特急」で申し込んでも通じるまでに1時間近くかかった。

 86年、チェルノブイリ原発事故直後のウクライナを約10日間、取材したことがある。一抱えもある写真電送機を持ち歩き、ドニエプル河畔で撮った1枚の写真を本社に電送するのに、数時間を要した。

 情報伝達は江戸時代ではどうだったか。元禄15年12月、赤穂浪士が吉良邸へ討ち入った。その発端である前年3月、浅野内匠頭の刃傷を知らせる早駕籠は、講談によると赤穂までの650キロを4日と半日かけて走った。東海道の江戸―京間490キロは早飛脚で3日前後で、普通に歩けば13泊14日。京に住む一般の人が江戸の情報を知るには、ざっと半月はかかったのだ。

 通信機器は今、手のひらで握れるほどになり、弁当箱ほどのパソコンで、世界の出来事を瞬時に知ることが出来る。これまで見ることの出来なかった月の裏側の写真さえ見られる。「はやいなぁー!!」と実感することは、この先もまだまだ続くだろう。(演芸ライター)
     
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