| |
| 高つぶれにつぶれます |
 |
| |
上田 文世 |
|
|
| |
大阪の堂島といえば、昔は米相場が立つところだった。堂島浜の「全日空ホテル」辺りに、江戸時代から米市場があって、相場師が千金を得たり、大損をしたりといった生活をしていた。上方落語『米揚げ笊(いかき)』は、そんなところへ米を揚げるいかき(ざる)を売りに来た男の噺だ。
相場が上がるのが好きな店の前で「米を揚げる、米揚げいかき〜」と男が大声。それを気に入った主人が男を店に招き入れる。男は「のれんは頭で上げて入る」「みな買うてくれたら、お家へ放り上げる」などと言って主人を喜ばせ、祝儀をせしめるが、そのうちに「下がる」と縁起の悪い言葉を連発する。機嫌を損じた主人を番頭がとりなして言う。「旦さんのように、上がる一方では高(たか)つぶれにつぶれます」。すると男は笊をポンポン叩き「叩いてもつぶれるような笊と、品物が違います」。
原油高が止まらない。年明け早々のニューヨーク先物市場では、一時は1バレル100ドルを突破。原油価格は1年で倍になった。原油高は企業経営に影響し、ガソリン高、暖房経費増となって、家計を圧迫する。なぜこんなに急騰するのか。経済に強い人の話によると、アメリカ経済への投資やドル、円、ユーロ買いなどに集まっていた投機マネーが、より儲かる物を求めて原油に移ったからだという。イギリスでは1バレル200ドルにもなるとの、新聞論調があるそうだ。
投機マネーで実勢からかけ離れた価格の原油を、今の国の経済力・購買力で買い続けることが出来るのか。200ドルともなったら、どんな生活が待ち受けているのか。
ここは番頭さんが言う「上がる一方では高つぶれにつぶれます」を信じたい。上がるばかりが能じゃない。激落も期待したい。相場は上がり下がりがあってこそ、商機につながるのだ。その節は私もおこぼれにあずかりたいものだが、我が頭はどうやらザルらしいので、果たしてうまくすくい上げられるかどうか。 (演芸ライター) |
| |
|
|
|