ニューシニアの情報新聞「フロンティアエイジ」
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一生楽に暮らせる方法 2008年4月号
  上田 文世
 
   一生楽に暮らせる方法 広場の一画。敷き詰めた新聞紙の上に、本や雑誌が並んでいる。奥の方に立つ男の前には、10冊ほどの本が大事そうに積み上げられていて、その1冊を取り上げた男が言う。「人間、一生安楽に暮らせる方法を書いた本や。『秘伝書』と言うてな。今なら500円や」

 客が争って買い求め、家に帰る暇も惜しんで広げる。まず『酒無くして酔える方法』。その答えは「ビールを飲め」。次は『ただで飛行機に乗る方法』。「これで海外旅行も行き放題や」と喜んだが、答えは「パイロットになれ」で「何じゃい、これは」―上方落語『秘伝書』の一節だ。
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 誰しも「お金持ちになりたい」「一生涯安楽に暮らせたら」といった願望がある。この噺はそんな人間の欲をうまくついて笑いを引き出すのだが、しょせんは絵空事と思っていた。ところが、それが実際にあったんですねぇ。

 何にでも努力は付き物ですから、まずは頑張って役人か、役人に近い仕事に就いてもらいましょう。そうすれば、願望に近づけるんです。

 例えば「ただで豪華旅行を満喫する方法」。政府関係の財団法人職員になると、これが実現します。うまくすれば、1泊2日で10万円以上の職員旅行が楽しめて、自己負担はほとんど無いのです。こうした財団では、受けた仕事を下請けに丸投げしているそうで、日常業務もきつくないようだ。

 「飲み食いの費用をただにする方法」。これは市職員になるとチャンスがある。公金から捻出したへそくり的なお金があり、それで飲食費を負担してくれるというのだ。「自宅までの道路をただで整備する方法」もある。

 先の落語では「わずかな元手でガッポリ儲かる方法」として「この『秘伝書』をコピーして売る」ことを薦めているが、国土交通省の書棚には、たった3冊で1億円の本があるそうだ。同省関連の団体が、世界銀行のデータなどを拝借して作り、納入した。「秘伝書」で稼ぐなら、20万冊も売らなければならない。 (演芸ライター)
     
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