ニューシニアの必読紙「フロンティアエイジ」
フロンティアエイジ=新時代の開拓者 フロンティアエイジ
  恵みの水88ヵ所 恵みの水88ヵ所リスト
  フロンティアエイジと湧き水サーベイで選定
 
  巡礼ウォーク
   訪ねて潤いが得られる「恵みの水場」88カ所を、シニア情報紙「フロンティアエイジ」と地学の専門集団である関西湧き水サーベイ(柴山元彦代表、大阪)が協働で選定した。近畿とその周縁にある湧き水ポイント485カ所を歩いて選んだ1番水場の「延命長寿の水」(熊野那智大社)から88番水場の「養老の水」(岐阜・養老の滝)まで。環境汚染への不安から清らかな湧き水に「命の安らぎ」を求める人々が増える今、エコロジーを思い、水を守ってきた地域の営みや文化、歴史を学び、そして健康を考える「水の巡礼ウオーク」を今後、読者・シニアに広く呼びかけていく 。 (8〜9面に88カ所一覧など)
熊野那智大社の延命長寿の水

 選定の対象となったのは、きれいでおいしい水の湧出があり、保全管理がなされて清潔が保たれ、だれもが汲める場所であること。近畿2府4県と周縁部の福井、三重、岐阜県にあるポイントのうち、柴山代表らは04年10月から07年4月末までに主要287カ所で、水質チェックを含めた現地確認調査を終えた。調査報告書として「湧き水めぐり1」(116カ所)を昨年10月に発刊、続刊「湧き水めぐり2」(130カ所)の刊行を今年9月に予定している。

 これを機会に「湧き水探訪を通してシニアの暮らしと健康・元気を考える活動へ広げたい」と、3月から推奨ポイントを絞り込むうち、西国33カ寺に含まれたり、近接する地点が少なくないことに気づき、そのルートに沿うかたちで「湧き水88カ所」と番外5カ所を決めた。広大な山域を持つ寺社の清冽さを誇る水、長い歴史をかけて守られてきた地域や町の水、守りたい水として名水100選にも選ばれた伝統の水などが出そろった。
    府県別では大阪9、京都18、兵庫19、奈良11、和歌山9、滋賀10、福井4、三重7、岐阜1カ所。また、見逃せない水として福井嶺北の3、兵庫・淡路島の2カ所を番外に加えた。目標を持って歩くことができるよう、それぞれに水場番号も振り当てた。
 
 1番水場には那智大滝から引かれている熊野那智大社の「延命長寿の水」を選定。ここから熊野古道を北上し、南方熊楠の保存運動で知られる一方杉がある「野中の清水」(5=田辺市)、奈良・十津川郷、「黒牛の水」(8=海南市)を経て紀の川流域をたどり再び奈良県域へ。町ぐるみで水源地帯を守る「ごろごろ水」(16=天川村)など吉野山系と伊勢の水、三輪山「大神神社・狭井の御神水」(24=桜井市)など「神々の水」を経て大阪、京都に入る。

 塩分の多い水に悩んできた大阪では、3大夏祭りのひとつ愛染祭で知られる「愛染めの霊水」(28=天王寺区)などを選定、水の保全に歴史的な伝統がある京都市では伏見の御香水(37=御香宮神社)をはじめ寺社の清水が続く。「真名井の水」(45=亀岡市)を経て兵庫に入ると南山の水・千ケ峰南山名水(55=神河町)、「ラドンの泉」(61=ちくさ高原)など但馬、播磨の水どころが集中。北上して城崎町の独鈷水(67=極楽寺)から日本海沿いに天橋立・磯清水(70=宮津市)を経て福井県に入ると、奈良・東大寺への水送り行事で有名な神宮寺の「閼伽井」(72=小浜市)へ。町おこしの象徴となっている醒井・居醒の清水(80=米原市)から琵琶湖東岸を南下、三重を経て岐阜県・養老の滝の菊水泉でゴールとなる。今後、災害などで湧出に変化が起きた場合、部分変更することもある。
 
   醒井へ  
   フロンティアエイジでは、これらの水場を日帰りや1泊の旅でめぐる巡礼プランを提案するとともに、水場のイラストシールで記録する「恵みの水巡礼ノート」の作成も計画。第1回ツアーとして今月31日、米原市醒井を訪ねる。  
 
旅マイウェイ 宿場町・醒井
梅花藻咲く清流に感動 大蛇退治伝説や雲仙三蔵にも縁
 
   「恵みの水」88カ所の選定にあたり、水と歴史を訪ねて小さな旅に出た。行く先は滋賀県米原市の旧宿場町・醒井(さめがい)。古来、清浄な湧き水で有名だ。まず、醒ヶ井駅横で腹ごしらえ。食堂はJR東海道線と国道21号にはさまれた「水の宿駅」の中。「水」が町おこしのキーワードなのを否応なく思い知る。
地蔵川の清流

 国道を横切って、南に100メートルほど行くと、もうそこは旧中山道の醒井宿。東から西に流れる清流、地蔵川をはさんで古い町並みが続く。お葉付きイチョウ(国天然記念物)、本陣跡、地蔵堂など文化、自然遺産が点在している。昔の郵便局を利用した醒井宿資料館では、ボランティアガイドが、町の移り変わりの様子を説明してくれた。

 この宿場町のシンボルは地蔵川。幅数メートル、深いところで数十センチの川である。梅花藻(ばいかも)の生える脇に、ちらちらと魚影が見え隠れした。清流にしか住めないハリヨらしい。「もう咲いている梅花藻がある」。仲間が声をかけてくれた。本陣跡の近くに、開花した一群があった。

 上流に向かって数分歩くと「居醒(いざめ)の清水」に着いた。伊吹山の水が湧出する地蔵川の水源地である。見上げる左岸に、ヤマトタケルの像が立っていた。みずらを結い、右手は上に、左手で太刀を持ち、よろいをまとっている。『記紀』によると、伊吹山の大蛇の毒で熱病にかかったヤマトタケルが、山麓の清水で熱を醒ましたとある。それがここだと伝わっていて近年建立されたらしい。流れの中に、タケルの腰掛石や鞍掛石があった。
 
  この街道沿い1キロほどの間には他にも西行水、十王水などの湧き水がある。西行水はあの歌人西行法師にまつわる艶な伝説が伝わり、「子授かり水」ともいわれる。

  醒井宿の南方に標高1084メートルの霊仙山がそびえる。その北山麓に源流を持つ宗谷川沿いの道を、3キロほど行くと、「いぼとり地蔵」の標柱が目に付いた。祠の前庭に置かれた巨石の上を水が流れていた。「いぼとり水」だ。飲料に不適とされているが、つけるといぼが取れると、今も信仰を集めているとか。 

  さらに1キロほど川に沿って行くと、県立醒井養鱒場。明治11(1878)年に開設された日本最古の施設だ。その入り口の手前から北側山中に向かう道は山上の松尾寺への参道。少し上ると真新しい小さな御堂が目に入った。かねて訪ねたいと思っていた霊仙三蔵記念堂だ。

 霊仙は最澄、空海などと共に入唐、皇帝の祈祷僧にまで上り詰め、日本人でただ一人の三蔵法師となった。827年に五台山で亡くなったが、経歴が定かでなく、これまで関心をもたれてこなかった。それが近年になって「霊仙」の名が霊仙山に由来する人物だとして、松尾寺の前住職が顕彰事業を続け、その願いが実って3年前に記念堂が建立されたという。
いぼとり水

 霊仙の名前が一般に知られるようになったのは、比叡山3世座主・円仁の『入唐求法巡礼行記』が現代語訳されてからである。私はかつて中国に円仁の遺跡を訪ねたことがあり、ずっと霊仙のことが気になっていた。ちょうど扉が開いており、同寺の近藤澄人住職が霊仙像の前で読経していた。誘われるままに近くの醒井楼別館にお邪魔した。檀家のない寺を維持するため、戦後にはじめられた同寺直営の料理店である。お勧めは「ニジマス料理」という。

 山上の寺は1981年(昭和56年)の豪雪で崩壊し、仏像などはいま分散して保管されているが、ご本尊(飛行観音・秘仏)は同館の1室に安置されていた。海外旅行などで、飛行機に乗る機会が多くなったことから、参拝客が結構あるそうだ。

 「せっかく来たのだから」と養鱒場へ。入場料350円。大小のニジマスや、幻の巨大淡水魚といわれる「イトウ」、キャビアの親魚のチョウザメが群れ泳ぐ。水が美しいからこそ維持できる施設と納得した。 (高橋 徹)
 
     
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