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冬の晴れた日、「赤穂浪士ゆかりの湯」を車で訪ねた。明石市から北へ1時間余。瓦屋根の宿が社町の中心街に近い千鳥川河畔にある。
数寄屋造りの玄関を入ると正面のガラス超しに広い石庭が見える。砂利を敷き詰めた中に、高さ5メートルの「蛇岩石」など大小の御影石を配し、別棟平屋の客室8棟が庭を囲んでいる。全体は広さ約1万6500平方メートル。国道を走る車が見え、民家にも近いが物音は無く、「空間の開放感」がうれしい。
露天風呂がもうひとつの自慢だ。30トンある御影石の一枚岩をくりぬいた湯船で4、5人が入れる大きさ。静寂の中で岩肌を流れる湯音が心地よく響く。無色無臭でわずかにしょっぱい、ぬるめの湯。じっくり浸かるとホカホカと朝まで温かい。
江戸時代の一帯は家原浅野家の領地。1671(寛文11)年に、赤穂浅野家からの分知で独立し、千鳥川べりに陣屋を構えた。温泉はそのころの発見で、浅野武士たちの湯治場だった。赤穂藩主・浅野内匠頭長矩の刃傷事件(1701年)による藩取り潰しの時も家原浅野家には「とがめ」がなく、明治まで7代続いた。
大石内蔵助ら「四十七士」の墓所が宿から約1キロ南東の観音寺にある。吉良邸討ち入りの145年後につくられ、東京・泉岳寺、赤穂・花岳寺と並び「義士の菩提所」になった。毎年12月14日に町の「赤穂義士奉賛会」が義士祭を開いている。
温泉には約600平方メートルと約400平方メートルのダンスホール、屋内ゲートボール場2面、カラオケ設備や舞台のある宴会場、8台の卓球台などを備え、シニア世代のサークル活動や親睦会などの利用が多い。送迎無料の15名以上1泊4食1万6千円、20人以上日帰り(昼食つき)6千500円が人気という。
社町は滝野町、東条町との合併で3月20日から加東市になる。 (清)
◆メモ 泉質=含塩化土類食塩泉▽効能=神経痛、通風、冷え性、皮膚炎など▽あし=中国道の滝野社ICから約1キロ、JR加古川線社町駅から約3キロ▽1泊1万3千円から。入浴料(18時まで)は大人千円、食事つき2千円からTEL0795・42・0457 |