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旅は夫婦で出かけることが多い。時に運転を代わってくれ、美味しい店を勘よく見つけてくれる妻を、私は重宝している。
今度は「お風呂の中から家島が見えるらしい」と誘うので、兵庫県赤穂市の「かんぽの宿・赤穂」を目指した。簡易保険保養センターだ。
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| 家島を背に先客が浪花節をうなっていた |
海端を走る国道250号で赤穂市に入り、JR坂越駅に寄って案内板を眺めていると、駅員が近づいて来て「赤穂の塩は昔、ここで船に積み込まれましたんや」
千種川を隔てた坂越湾沿岸には古い町並みも残り、人家が途絶えた辺りに海の駅・しおさい市場の文字が見える。駅の市場は閉まっていたが、バラック建ての食堂があり、献立表を見た妻がさっさと入っていく。
珍しい「穴子の刺身」と「前どれ魚の煮つけ」を注文。「煮付けはどんな味加減に」と聞かれ、「薄味に」と答えたが、好みの味加減に応じてくれる食堂とは珍しい。刺身もよかったが、やはり煮つけが気に入った。
大避神社は蘇我入鹿の乱を避けてきた秦河勝が祭神で、旧坂越浦会所は赤穂藩の茶屋を兼ねた役所跡。木戸門跡から海まで通じる旧街道には酒蔵や古い寺院、町屋が立ち並ぶ。明治期には銀行が2つもあったとか。坂越からさらに海沿いの県道を走ると、赤穂御崎手前の小高い山の上に「かんぽの宿・赤穂」はあった。
大きくて広い風呂場。ぬるめながら透明できれいな湯。前一面のガラスの向こうに、まさしく家島が浮かぶ。家島は関西空港や神戸空港のための採石場で知られるが、旨い魚を食べさせる所でもある。夏に訪れたことなどを思い出しながら、鼻歌が出てきた。
露天風呂へ移ると、高齢の先客がうなっていた浪花節を止めた。続けてと促したのだが「いや、お恥かしい」と照れた。暮れなずむ夕空が、またよかった。 (崎)
◆メモ 泉質=カルシウム・ナトリウム‐塩化物低温泉▽効能=神経痛、関節炎、慢性消化器病など▽あし=JR播州赤穂駅からバス20分。山陽自動車道赤穂ICから約8キロ▽1泊1万円から。入湯料800円。食事2千500円から。TEL0791・43・7501 |