| |
日本海に落ちる夕日を見たくて、丹後半島に向かった。車で京都市内を後にし、3時間足らずで久美浜海岸に着いた。
丹後半島西岸には温泉が多く、20キロほどの間に10数カ所もある。夕日を望める宿もあるが、今回は夕日と温泉を別の場所で楽しむことにした。予約したのはガイドブックで薬湯、泡湯など7つの湯があると知った久美浜温泉湯元館。久美浜湾から少し東に入った集落はずれにあった。
 |
| 岩山の陰にはゆったりした露天風呂が・・・ |
夕刻までに時間はたっぷりある。気ままにドライブすることにした。宿から数分。「箱石浜」の道標につられ、何気なく脇道に入ると、国史跡の「函石浜(はこいしはま)遺物包含地」があった。遺跡の年代を決める有力な物証とされる「王莽の貨泉」が、百年ほど前に出土した場所。「こんなところだったのか」と感慨ひとしお。
国道から離れ海沿いの道を北上すると「静御前生誕の地」ののぼりが目に付いた。海を眼下にする集落内に、まだ新しい石柱と義経の愛妾・静御前がここで生まれたという由緒書きがあった。近くに静神社も鎮座する。
さらに1キロほど行くと、デジタル時計を組み込んだ「最北子午線の塔」。この地が日本の標準時を定める明石天文台の真北にあたると知った。
日中は薄日も射し、予報では夕方は晴れそうだったのだが、ぽつりぽつりと雨が落ち始めた。「夕日はだめでも、温泉とご馳走がある」と妻の言うまま宿に引き返す。
湯元館は久美浜温泉でただ一軒の宿。昭和49年に地下700メートルでお湯を掘り当てた。源泉は56度。湧出量は毎分600リットルという。岩山の陰にある約80平方メートルものゆったりした露天風呂は、夕日が見えなかった無念さを流し去ってあまりがあった。新鮮な海の幸に舌鼓を打ったことはいうまでもない。 (高)
◆メモ 泉質=カルシウム・ナトリウム、塩化物、硫黄塩泉▽神経痛、関節痛、疲労回復、慢性婦人病など▽入浴料=400円(夏期、正月100円増)。TEL0772・83・1071 |