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露天の木樽に身を沈め太平洋の夕日を眺めた。きらめく光の帯を海面に伸ばしながら水平線に近づき、沖の船がシルエットで浮かぶ。吹き抜ける風と真下の磯に寄せる波の音。浸っている湯がそのまま海につながるような錯覚に陥る。未明には月が濃いオレンジ色になって水平線に沈む。
約1400年の歴史を持ち、観光客が年に300万を超える有数の温泉街・白浜。梅樽温泉は約100軒ある宿では規模の大きなホテル「シーモア」にある。梅樽は名の通り、梅産地みなべ町の農家が梅干の漬け込みに使ってきた。直径2・1メートル、高さは1・67メートルだが、中段で仕切られ湯の深さは85センチ。4、5人が入れて男湯に七つ、女湯に五つ並ぶ。
89年の改装で露天だった岩風呂の前面をガラス張りにしたところ「露天風呂がない」という苦言が続出。98年に海ぎわへ新設するにあたり、「梅どころならではの湯を」と考えて思いついたそうだ。
「幼少のころ、当地の温泉を引き込んで入浴した」などの説明がある「8代将軍吉宗公の梅樽温泉」をはじめ、樽ごとに名がついている。「吉宗」の説明はホテルの願望も含んでいて真偽は不明だが、爽快感は抜群。「きれいなのは週に2、3度」(支配人)という夕日が見られ、「得をした」気分にもなった。
南部梅林へは約30キロ。帰りの梅林で会った梅農家の話では、木樽を使ったのは30〜40年前までで、今は強化プラスチック製が主流。木樽を長持ちさせながら、後継を探して確保できるかがホテルの悩みという。 (清)
◆メモ 含重曹食塩泉▽リウマチ、運動器障害、創傷など▽JR天王寺―白浜1時間50分。阪和自動車道の南部ICから国道42号を経て約45分▽宿泊は約1万5000円から。昼食利用(2人以上ひとり5250円、8人以上ひとり3150円。要予約)でも入浴できるTEL0739・43・1000 |