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  松本大学シニア短期留学  
 
ハートに響く「信州学」 2008年3月号
 
 
松本大学で初のシニア短期留学 5月19日から7日間 
 
   信州の自然や文化をたっぷり楽しみながら学んでもらおうという、松本大学のシニア短期留学が5月19日から7日間のプログラムで開校されます。テーマは「ハートに響く信州学」。長野県松本市にある松本大学と、フロンティアエイジ、日旅九州エンタプライズが協働で運営します。

 3000メートル級の北アルプスをはじめとする「山岳」、明治から高度の教育活動が営まれてきた「学問」、サイトウ・キネン・フェスティバルに代表される「音楽」。その「さんがく」都市松本に、シニアのための豊かな学びの場を創り出す試みです。

 春の小川やふるさと、早春賦などの唱歌に歌われた日本のふるさと。柳宗悦、バーナード・リーチらが民芸を育くみ、「いわさきちひろ美術館」があり黒澤映画「夢」のロケ地でもある安曇野、山菜と蕎麦の乗鞍高原などの魅力を、大学での講義と現地講座で学びます。

 50歳以上を対象として定員25人。現地集合で受講料は宿泊費を含め14万9000円。4月25日に締め切る。問い合わせ・申し込みは日本旅行関西企画旅行支店TEL06・6209・0707。
 
心意気の信州路  
豊かな自然 質実で進取 豪華な春を手携え待つ
 
   長野県には「信濃の国」という県歌がある。「信濃の国は十州に境連ぬる国にして・・・」と地理、歴史、文化を織り込んで6番まで続く。明治の中ごろから歌い継がれ、戦後の1948年春、南北分県案が県議会で可決されそうになった時、傍聴席で始まった「信濃の国」が議場を覆う大合唱となり、議案が消えたという話も伝わる。
松本城

 今も学校、集会、同窓会、カラオケで歌われ、携帯の着メロにも流れる。こんな連帯感が育つ一方で、谷が違えば文化や気風も異なると言われるほど個性的な信州は、老後を考える団塊の世代にとっても魅力的。質実で開明、開放的な歴史を刻んできた松本を中心とする中信地方を歩いた。

 「信濃の国」の歌詞の中に「月の名にたつ姨捨山(おばすてやま)」とある。筑北村・千曲市境の冠着山(かむりきやま=1252メートル)が正式名。老女を山に捨てた男が月の美しさに自らを恥じ、翌日連れ帰った逸話からこの名がついたとされるが、この山に上る月、棚田に映る「田毎の月」の美しさもまた有名。平安歌人から西行、芭蕉、牧水、虚子まで古今の往来者が尽きない。遠望が自慢の麻績(おみ)村では、16基の句・歌碑とともに月を愛でる庭園・茶室「信濃観月苑」を開く。
旧開智学校

 筑北村には庶民の様々な願いを映す神や仏たちのいる社があった。江戸後期、修験者が開いた修那羅山(しょならさん)安宮神社。ここに祈り、大願成就した氏子や各地の信者が奉納した1128の石神像、石仏、木像が1・8ヘクタールの山内に祀られる。

 兵学・思想家の佐久間象山が寄進した千手観音をはじめ如来、観音、地蔵、神像が群をなし、家族の愛が実った夫婦、父子、母子、姉妹像に縁結び、子育て、子宝の神仏。咳、痰、頭痛、瘤取りの大明神、金貸しが建てた「催促金神」や「猫神」「犬神」もある。関西からの参拝が増え、年間5万人が訪れる。珍しさから盗まれる石仏もあるが、「たたり」をおそれてか、大抵は返ってくる。老人ホームに入る前に預けられるなど、新たな神仏たちも加わる。

 村々の高齢化率は37〜38%になるが、「ありのままに生きる」暮らしがある。麻績村営のホテル「シェーンガルテンおみ」は山菜、野菜、川魚の地産メニューで「田舎料理」を宣言、地場飼育のシャモ鍋は抜群だった。昼食をとった道の駅の食堂「もえぎ亭」は筑北村の農家主婦グループが運営。特産青大豆の「もえぎ豆腐」と、地元産小麦の地粉を手打ちした「もえぎうどん」もおいしかった。
安宮神社

 松本には信州人の志が詰まった文化財がいっぱいある。明治5年の学制発布とともに町民の寄金で大工の棟梁が建てた小学校・旧開智学校(重要文化財)や進取気鋭の偉才を育てた旧制松本高校は「信濃教育」の原点。5重6階、黒漆塗りで木造最古の松本城(国宝)も市民に守られてきた。明治の初め、235両(円)で売られたのを、城郭で開いた勧業博覧会の収益で買い戻したのは、町の商人たちだったし、地盤沈下で傾いた城の大修理、戦後の解体復元を資金集めや国への運動で実現したのも市民たちだった。

 教師たちが編集した小学校5年生の副読本「わたしたちの松本城」で学んだ子どもたちが城の床磨きボランティアをし、市職員OBたちが管理やガイドでその伝統をつなぐ。

 重要伝統的建造物群保存地区として1キロの中山道の宿場の面影を残す奈良井宿(塩尻市)は、団塊の世代など50〜60代が主流の観光客で過去最高の47万人を記録して盛り上がっていたし、Uターン退職者がブドウ栽培の後継者となり、「品質全国一」の評判をとるまでになった塩尻ワイン産地もワイナリー試飲客の誘致に意欲満々だった。

 信州には梅、桃、桜がいっせいに花開く豪華な春がやってくる。「境内には黄花の黄金桜が咲きますから」といった安宮神社の宮坂宗則宮司の誘いが耳に残った。 (むかひら すすむ)
 
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