ニューシニアの情報新聞「フロンティアエイジ」
フロンティアエイジ=新時代の開拓者
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  旅−マイウェイ  
 
ナイル・クルーズ 2006年2月号
 
 
ゆったりと古代を巡る 壮大さ体感驚きの連続
 
   遊覧船ソリティア号は、滑るように川面を進む。全長72メートル、幅14メートル。甲板まで含めると5階。ちょっとしたホテル並みだ。「宝石が一つだけの指輪」と命名した船主の思いが、船内設備やサービスから伝わってくる。

 前夜、アスワンを出発。200キロメートル下流のルクソールに向かっていた。水量が豊富なせいか、目に見える流れも波もない。この区間はナイル河クルーズのゴールデンコース。鉄道で4時間の距離を、3泊4日の日程が組まれていた。
ナイル川クルーズ
水量豊かな川の向こうには乾いた大地が

 「ナイル河って意外に狭いのね」。夜明けを待ちかねて甲板に出る。移りゆく景色を眺めていると、後から上がってきた妻が言った。カイロ付近では1キロもある川幅も、この区間では二、三百メートル。両岸は、ナツメヤシに囲まれた畑地や草地が続くが、少し離れると荒涼とした沙漠が広がる。

 牛やヤギが草を食む姿を時折見かけたが、人家は少ない。行き交う船がほとんどないのに驚く。物資の運送手段は車に代わり、船は観光客用に変わっているらしかった。

 ナイル河クルーズをしたい。かつてアガサ・クリスティ原作の映画『ナイル殺人事件』を見て以来、そんな思いを抱いていた。古代遺跡を見学しながら、ナイル河の遊覧船上で発生した、謎の殺人事件を追うというストーリーだった。詳しい内容は忘れたが、舞台として登場する巨大石柱の並ぶ神殿が、印象に残っていた。エジプト旅行を決めた時、ためらわずに、クルーズプランのあるツアーを選んだ。

  設定されたコースは、スフィンクスと数多くのピラミット見学に始まり、翌日はクレオパトラゆかりの地中海に面したアレキサンドリア。次は国内線をアスワンで乗り継ぎ、エジプト南端のアブシンベルへ。高さ20メートルもある4体の巨像がそびえる神殿は、3300年ほど前に建設されたものだった。一九七〇年に完成したアスワンハイダム工事で、水没の運命にあったが、ユネスコが援助、岩山ごと移築保存されたことは、日本でもニュースとなった。
アムン大神殿
アムン大神殿の石柱の森

 夜には、その巨像を背景に、音楽と映像を駆使した「音と光のショー」があり、私たちの見学した日のナレーションは日本語版だった。

 再びアスワンに戻り、右岸に繋留されていた遊覧船に乗り組んだのは、日本を出て5日目。映画では、次々と立ち寄った観光地を舞台にミステリーが展開する。私たちの旅のコースも、古代遺跡を見学しながらの川下りだった。

 ガイド氏の話では、アスワン〜ルクソール間には、290艘の遊覧船が行き交うそうだ。この区間は、環境保全のために高層建築が禁じられており、遊覧船がホテル代わりなのだとか。

 「今後は船会社の決めたスケジュールで動きます。時間を厳守して下さい」。乗船前に、くどいほど念を押された。接岸地は限られており、上陸するため、何艘もの他船の中を通り抜けるのは、ごく普通のこと。出航時間の都合で、各船の停泊位置は絶えず変わる。乗りそこなうと、外国人には再乗船は難しいからだ。

 ルクソールは、古代にはテーベと呼ばれ「百の塔門を持つ都」といわれた王城の地。「壮大」としか、表現のしようがない二つの神殿遺構が残っていた。映画で見た「石柱の森」はカルナック神殿の中のアムン大神殿のものだった。大人十人が手をつなぎ、やっと抱えられるほどの石柱もあった。

 対岸は、黄金のマスクが出土したツタンカーメン王の墓所などのある「王家の谷」。ここも観光客でにぎわっていたが、ヨーロッパ人は、そのほとんどが遊覧船を宿としていると聞いた。  (高橋 徹
     
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