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| イギリス西南部 |
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「マッチボックス」を集めて40年になる。名前の通り、マッチ箱に入るほどの小さな車たち。子どもにせがまれて買ってやるうち、こちらが深みにはまって、イギリスとアメリカの収集家クラブの会員にもなっている。
そのイギリスのクラブが、ロンドン西郊ブラックネルのホテルで週末の3日間、コンベンションを催すという。地図で見ると少し西に世界遺産のストーンヘンジがある。それにも魅かれ、初めてのイギリス旅行を決めた。
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| 観光客の列が続くストーンヘンジ |
4月初めの木曜に出発。ヒースロー空港から車で約45分、ブラックネルはホンダのF1チームが前線基地を置く、緑の多い町だった。金曜日の朝は小鳥の声に包まれながら近くの森を散策。宿に帰って持参したミニカーをベッドやサイドテーブルの上に広げ、ルームトレーディングの準備完了。
午後2時を回ると、イギリス全土はもちろんヨーロッパ各地からのメンバーが続々とチェックイン。そして、ルームトレーディングしている部屋を探して廊下トンビを始める。私は20年以上前に日本でだけ売られた独自仕様の車や、日本語版のカタログなどを持参したのだが、大げさに驚いてみせたり、手にとって仔細に点検しながら話しかけてくる。
クラブの主宰者によるとここ数年、旧東欧圏の国々からの入会者が増えているという。89年に鉄のカーテンが崩壊してから15年以上経つ。趣味はゆとりの象徴、それも心のゆとりがあってこそということなのだろうか。
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| パースに残るローマ時代の温泉 |
参加者はざっと200人。土曜日は同伴の奥さんたちのために少し東のウインザー城へのバスツアーも用意され、男たちは「マッチボックスの技術発達史」などという講義に耳を傾けたり、廊下トンビを続けたり。そして、ディナーは正装でびしっと決めたカップルも多く、以前に参加したアメリカのクラブ集会のラフさとは趣きが違った。とはいえ、メーカーやクラブ提供のレア物が並ぶオークションが始まると、ついつい熱くなるのはご同様だった。
日曜の午前中は最後のお買い物を楽しみ、そして「また来年」と手を振りながら散っていく。こちらも妻と2人、少しは軽くなったバッグを引きずってロンドンに移動した。
月曜はお目あてのストーンヘンジへ。ブラックネルからの方が地理的には近いのだがアクセスが悪く、ロンドンからのバスツアーに計画変更したのが大正解。タレントのセイン・カミュそっくりのガイドが、英語での説明の合間に、4人しかいない日本人のために達者な日本語をはさんで楽しませてくれた。
四方が地平線になる丘の上の草原に異形をさらす5000年以上も前の巨石群。その目的はいまだ解明されていないというが、人の想念とその営みに思いをはせながら、ただただ圧倒された。11世紀建造の大聖堂があるウインチェスター、1世紀から5世紀にかけてのローマ支配時代の浴場が残り、鉱泉を求めて貴族が集ったという世界遺産の古都バースまで巡って約10時間、1人56ポンドのツアーは期待以上に中身が濃かった。
宿に近いバッキンガム宮殿で観光旅行定番の衛兵交代を眺め、世界のお宝を集めた大英博物館が入場無料なのに驚かされながら、「マイウェイ(おれ流)」も度が過ぎそうな今回の旅ながら、古いものへの愛着と畏敬という意味では、共通項があるように思えてきた。
割安の1日パスで地下鉄と2階バスを乗り継ぎ、ロンドンを楽しめ始めたところでもう最後の夜。すしバーに行列ができていた有名百貨店ハロッズの1階でエビ天を買い求め、ホテル自室での粗餐の1品に加えた。 (吉瀬 拓雄) |
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